「公共施設を市民にとって最善の方法で維持・管理・更新する考えについて

 森本 たけし議員は、今議会からはじまった「一問一答方式(質問の回数制限は無し、40分の時間制限)」で一般質問を行いました。

 森本議員は、「公共施設の維持・管理・更新」という課題は、いまはまだ大きな問題として顕在化していませんが、その運用方法如何によっては、今後、川西市にとって大きな財政的負担としてのしかかり、市民生活の水準を大きく引き下げることにもなる可能性があるため、問題提起しました。

 公共施設が抱える課題を考える上で、まず日本全体を取り巻く社会状況と、今後予測される社会情勢を考えることが重要になります。それは「人口減尐」という問題。日本の総人口は2004年の1億2700万人をピークに、2020年頃までは緩やかに減尐していきます。そして、2050年には1億人を下回り、2100年には6000万人と、現在の人口から半減すると、推計されています。これを単純な計算式に変換して、川西市に当てはめると、2050年には12万5000人。2100年には7万5000人まで減尐することになります。つまり、公共施設に対するニーズは、それぞれの施設の用途に於いて、充足出来ていないという事態が起こることはありますが、総量的には必然的に縮小していくことになります。

 川西市の歴史を紐解いてみますと、1970年代から80年代にかけて、人口が急増し、市民生活を支える道路や橋梁、上下水道、教育施設や福祉施設などの公共施設が集中的に整備されました。現在、川西市は211の建築系公共施設を管理しており、そのうち竣工後30年以上経過するものの比率は43%。6施設は50年を超えています。このように経年劣化していく施設を、現状の数、形態のままで維持管理運営していくためには、大規模改修による老朽化への対応や、耐震工事によって安全性を高める改修など、建物の適切な修繕・改修が 不可欠であり、それには巨額の費用が必要となります。

 つまり、問題の本質は、今後必要となる巨額の維持・管理・更新・運営費用というものが、望ましくは施設竣工時点に於いて、遅くとも現時点に於いて、計画的に見込まれていればよいのですが、そのような計画的維持管理を行うことなく、各施設で欠陥が生じるたびに、「とりあえずやれるところから」という考え方に基づく、事後保全型の維持管理を繰り返しているため、不要な財政負担を市が負うことになり、そのツケは、現役世代のみならず、次の時代を生きる者たちが負わされることになるのです。
 例えば、岡山県倉敷市に於いて、事後保全型の維持管理を続けた場合、113億円必要と試算されていた改築・改修費用が、計画的維持管理を行った場合、半額以下の50億円で賄えるという、財務的効果の試算が示されています。

 森本議員は、川西に於いても、計画的維持管理というものを積極的に行い、現在は所管部門別で行っている公共施設の縦割り管理体制を改めて、全体の公共施設を横断的に統括し、使用調整を行い、全体最適を図るミッションを持つ組織体制づくりを構築することで、公共施設運営のムリ・ムラ・ムダの解消の図ることが必要であると、提案しました。

 また、森本議員は、公共施設は公共の資産。つまり、住民のための資産であるため、その利用形態については住民自身が判断し決定するべき、との考えから、現存する市内公共施設の数、面積、築年数、構造、利用度とその評価、維持管理コストを網羅的に示した「公共施設白書」を作成し、公共施設の現状や課題を住民が把握出来るようにするべきだと提案しました。

答弁 提案に対して当局からは、1点目について、公共施設の維持管理コストは、大きな課題として認識しており、現在川西市に於いて、総合的一元管理による公共施設の計画的保全に向けた研究を行っている。今後も引き続き研究を積極的に進めながら、建物の長寿命化を中心とした維持管理コストの削減に努めていきたいと答弁がありました。2点目については、先進的に取り組んでいる他市の実例を参考にしながら、来年度に策定される第五次総合計画にその内容を盛り込んでいきたい、と答弁がありました。

「日本共産党川西市会議員団ニュース」第15号(2012.1.)