2016年3月定例議会 総括質問:住田由之輔 (質問要旨)

2016年3月 定例議会 総括質問  (質問要旨)

日本共産党議員団 住田由之輔

1.市政運営に取り組む決意の基本的立場について

 所信表明冒頭の決意で、「挑戦する姿勢を崩すことなく、市民一人一人のくらしが輝くことで、地域全体が輝き、川西に住み、集う人たちに、幸せを感じていただけるようなまち」に力を尽くしていくと表明されています。

 わたしは大切な心がけと受け止めました。

 行政の長として、市民の幸福を築いていくことは責務であり、公務として憲法にも規定されていることでもあります。

 特に憲法13条には、「個人の尊重と公共の福祉」について規定されており、すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そのほかの国政上の上で、最大の尊重を必要とする。

 それらを実践するに当たり、地方自治法によって定められています。

 そこで、冒頭の決意は

1)憲法遵守について

当然その根底に、「憲法の遵守」「地方自治法にのっとった施策の運営」があると思うが、どうか。

2)施政方針に書き入れることについて

大前提だから、ということもあろうが施政方針でも明確に表現しておくべきではないのか。

伺います。

2.社会情勢に対するいくつかの所感について

社会情勢の動向を的確に見極めるとあります。

 パリでの同時多発テロも触れられています。武力の行使が次なる武力の行使につながる、負の連鎖によって起きているものと思っています。テロを生み出しているおおもとを解決しない限り、「暴力による不安」は解消できません。国際機関が協調しとりくむべきものであり、特に「貧困」・格差の解決を重要視していくべきものとも思います。
北朝鮮による水爆実験にも触れておられますが、北朝鮮における核実験を含めて核兵器開発をストップさせるだけでなく、いかなる国においても核兵器開発は禁止すべきであり、世界から核兵器を無くすための効果ある行動を各国が協議し、協調して取り組むべきだと考えます。

 所信表明では、国内情勢を含めて、先行きの不透明感がぬぐえないが、こうした社会情勢の動向を的確に見極めながら、将来を見据えた市民本位のまちづくりを実施するとしておられます。

 いろいろある中で、数点、社会情勢の認識について伺います。そのひとつは

1)安倍政治の「株高誘導」について

 市民の生活に大きく影響し、国家の、安倍政権の中心的施策であるだけに、私自身も注視している課題です。

 「株高をいのち」として政策を集中している安倍晋三政府がとっている政策。そのために日銀総裁・委員を変えて、国債の量的緩和策、年金積立金を投機に運用など、株操作にも介入させるなど、これまでの自民党政府も禁じ手としていたものを解き放ち、結果見せかけの「景気の良さ」、経済の活性化を演出されている状況があり、「株安」「経済のマイナス成長」「労働者の実質賃金低下」といった実体経済が、アベノミクスの破たんを証明してきていますが、所見を伺います。

2)税負担の公平性について

 法人税減税に好感を表明されていますがその根拠は何でしょう。
確かに最近の統計資料でも、2008年のリーマンショックの翌年、年間利益33兆円と最低を記録した法人所得は、2014年には58兆円、1.75倍、25兆円も大幅に純利益が引きあがっています。ところが同じ期間の法人税収は、約8億円が約11兆円と、1.37倍、3兆円の伸びしか増えていません。

 しかも儲かっているのは資本金10億円以上の大企業です。その大企業に更なる減税をするというのが国の新年度予算です。ところが営業が大変な中小企業には外形標準課税を課し、赤字であっても強制的に税の取り立てをし、大企業の減税分を補てんしようとしています。

 さらに暮らしが大変にされている国民には、2017年4月から消費税を10%へ引き上げ、「軽減税率」なる、一部日常生活品等を8%に据え置いたとしても、4兆5000億円の大増税です。このような不公平な課税に対して賛同されるのでしょうか。

3)TPP推進は市民に悪影響することについて

 環太平洋経済連携協定推進も経済の活性化につながると、好感をもって分析されています。どんな根拠で見ておられるのでしょうか。
農業だけでなく、地域医療、地域の雇用にも多大なマイナス影響を及ぼす環太平洋経済連携協定推進と思っている私と違う点はどこにあるのでしょうか。

4)原発再稼働による市民の安全確保について

 本年、1月24日、福井地裁において、高浜原発再稼働の仮停止を住民団体が訴え認められていたものを、それを不服とする関西電力が異議を申し立て、同じ福井地裁の別の裁判官が、決定を取り消すという珍事がありました。強い憤りとともに、周辺自治体の長と一緒に、議員有志が抗議の声を上げました。

 川西から80キロと離れていない高浜原発再稼働、さらには大飯原発再稼動への動向について、住民の安全確保が自治体として整っているのか、その整備で本当に安全確保ができるのか。

 特に大飯町民4000人を受け入れるとしている川西市にとって、避難民受入れと準備・諸手続きとともに、もしかしたら風向きによって、川西市も放射能被災地になるかもしれない、なった時の手段についてはどうか。

 琵琶湖もそうであるが、一庫ダム湖など、飲料水への汚染も懸念されることであり、どのような対応が検討、準備されているのか伺います。

5)安保関連法と市民の命を守ることについて

 2月19日、国政における野党5政党が、安保法制廃止など4項目で合意したとのニュースが走りました。画期的なことと歓迎するものです。

 日本共産党、民主党、維新の党、社民党、生活の党で合意されたのは、①安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。②安倍政権の打倒を目指す。③国政選挙で現与党及びその補完勢力を少数に追い込む。④国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う、というものです。

 国民多数が平和を願い、各種世論調査においても、5割以上が安保法制廃止を願っておられ、この5党が合意した方向が国民多数派になっている状況にあります。

 特に現状の中で、川西市民の命と生活を守る立場から、注目をし、その危険性を市民に知らせねばと思うのが、PKO改定における、南スーダンでの自衛隊の活動です。
第9次として、PKO活動として、陸上自衛隊中部方面隊から派遣されています。川西市民も参加している可能性があります。

 派遣先南スーダンの国内情勢の不安定で、最近の情報として、北部都市、マラカルに、国連平和維持軍が設置した、文民保護キャンプ内で暴動が起き、異なる民族間の衝突とともに、政府軍による武力の行使、鎮圧しようとした国連軍などが入り乱れ、死者、負傷者が多数出たということです。

 私たちにとって特に懸念されるのが、PKO活動に参加している自衛隊員が、安保法制行使に伴って、「住民の保護」「駆けつけ警護」などの任務遂行が加わり、今回のような混乱の中で、武器の使用をすることになるという懸念です。このキャンプだけでも5万人が収容されているということで、だれがどのような位置関係で、武器の使用をしているかどうか、瞬時に判別できない中で武器使用が要求されます。

 「安保関連法」施行に伴って、「殺し殺される」場面が想定でき、市政を預かるものとして容認できないことではないか、その態度を伺います。

3.「安倍政治」が川西市政にどのように影響するのかについて

1)「一億総活躍社会」の意味するものについて

 ・若いときのわたしは60歳を過ぎれば会社仕事を退職し、年金を活用して、安定した生活保障がされていると思っていました。ところが掛け金は増やされ、受け取る年金は目減りし、65歳を過ぎても、別な形で収入を確保しなければ、普通の生活ができない状況に気づかされました。

 同じようなことが若年層にも言えます。その実態を隠すために、「元気な高齢者の働く場を確保する社会」「女性も社会進出を」として、安い労働力で死ぬまで働かされる環境が作られています。しかし人間としての生活はいつ取り戻せるのでしょう。働くことだけが人生ではないはずです。「一億総活躍社会」の本質をしっかりとみるべきではないでしょうか。

 将来に対して、生きていく意味・希望が持てない「くらし」を、強要される環境は見直すべきです。

2)「新三本の矢」の実態と市民が望むものについて

・労働者の賃金が4年連続前年度より下がっている状況と「GDP600兆円」にするという計画について

 最初の「アベノミクス」がどのように成功したのかという確証を安倍政権は提示できていません。実体経済は悪化しているからです。

 また大企業が儲かれば庶民の購買力も上がるという、トリクルダウン政策はとっくに破綻し、実体経済でも、大企業の空前の儲けとは裏腹に、その儲けが再配分されず、労働者の賃金が下がっているのです。

 520兆円のGDPを600兆円へ引き上げる、そのために持ち出しているのが、世界一大企業が活躍できる、日本社会の環境づくり、より一層の法人税減税でもあります。

 国民の生活を顧みない政権が長く続くとはとても思えません。

・川西市は、全国でも理想より特殊出生率が低い自治体としての実態の中で、希望出生率1.8という数字が決められていきますが、結婚や子育て環境予算を含めて、整備されていない国の施策に頼らねばならないのか、市独自政策を強化する予算になっているのか伺いたい。

・介護職場の離職率が高く、労働として敬遠される介護の実態。

 「介護離職ゼロ」の掛け声とは裏腹に、特に子ども一人で親を介護している労働者にとって、毎日の生活はとても厳しい現実に直面しているのではないのか、それを解消する手立てが示されているとは思えません。

 そんな国の政策に賛辞を唱え、追随されるのでしょうか。

4.「地方創生元年」の成り立ちと進めていくための基本的考えについて

1)なぜ「地方創生」を国が持ち出したのかについて

・一極集中型社会構築路線の破たんが明瞭になりました。しかし国の強制によって、平成の大合併が進められ、結果「限界集落」なる造語が生まれるほど、全国で集落が消滅する事態を招きました。かろうじて「まち」として残っていても、疲弊が著しい状況にあります。「合併特例」策なども長い目で見れば、その場しのぎでしかなかったといわざるを得ません。

・一方では、合併せずに、「小さくとも輝く地方自治をつくる」としてきた自治体もあり、地域の特性を生かしたまちづくりをすることにより、まさに住民が輝く自治体として全国的に注目もされています。

・国の戦略にのることもなく、地方自治法第1条の2、「地方公共団体の役割と国の役割等」でも示されているように、地方自治の確立によって、成功しています。
その輝く自治体を見つめなおしでてきたのが、「地方創生」でもあります。

 以前川西でも「合併話」が持ち上がった時期もありましたが、この間の歴史を含めて、「地方自治」に対する総括は持っているのかお聞かせください。

2)国家戦略と自治意識について

・国の政治の破たんを隠すために持ち出されたのが「地方創生」という言葉であると私はとらえています。しかし補助金をつけました、事業をやってくださいだけで、「幸せを感じる」まちができるとも思えません。

 市長の構想の中に、30年、40年先の「自治体として成立している川西市」として自立している姿をとらえているのかについて伺います。

3)まち・ひと・しごと創生法とシティプロモーションについて

・私はイメージを先行させることなく、実態の伴ったかわにしの魅力を発信してほしいと願います。

・そこで、所信表明の決意に関係しますが、総合戦略(案)全般にわたって、基本中の基本のところはなにかについてうかがいます。

・まちが元気になる健康施策は歓迎されるところでありますが、市民全体が健康であるべきで、その願いが施策に出てきているのか、不十分さがあるかに見えますがいかがでしょう。

5.新年度の行財政運営・収支均衡について

 予算大綱として触れられており、また予算の審議もあとで控えているということもあり、「収支均衡という課題」のみで質問させていただきます。

・地方債現在高と将来の推移について、大塩市長就任時は、地方債残高が減少傾向に移行していく計画でした。しかし今は増加傾向にあるのはなぜか

・今後、「公共施設の老朽化に伴う、事業が目白押しで、市債発行を余儀なくされるが、「基金の目減り」が顕著で、未利用地の有効活用も期待が薄く、PFI事業での資金繰りにも限度があり、財政運営が今より厳しくなると推測します。その認識はどうか。

・にもかかわらず大型公共工事は「待ったなしの状況」として、新規事業が作られている。それらを実行することで、収支均衡の財政運営ができるのか伺います。

6.元気な都市再生プロジェクトについて

1)新名神インターチェンジ近辺の環境保全について

 新名神高速道路計画案が示された当時、環境の悪化を懸念する声が上がり、説明会などが設けられ、住民側の意見が出されました。

 工事は来年春の供用開始へすすめられています。しかし山林を切り開いての工事であり、環境悪化はそれだけでも大きいものがあります。供用開始以後は特に懸念された排気ガスの滞留、生活道路への高速道路利用自動車の流入、流出増などの日々のくらしへの悪影響が出てくるでしょう。それらすべてを地元住民のみなさんが歓迎されているわけではありません。逆に懸念されています。

 新たにインターチェンジやそれに繋がる沿道における開発計画が決まっています。それらを踏まえて、住民のみなさんの平穏な暮らしを守る立場から、

・高速道路との共存をやむなく選択された地元要望を早期に実現すること、

・自然利用共生型、プロジェクト対応ゾーンには、様々な構造物建設も可能になっていますが、行政として、必要以上の環境破壊は慎むべき立場で新規事業に対応していくべきこと、

・新規機能型、プロジェクト対応ゾーンのほとんどが、畑地です。農業従事者にとっては、農地の集団保全こそが、営農を継承していくことになり、自然との共生を目指す川西市としては、緑地としての農業を含め、農業発展の展望を地元の皆さんと共有していくべきと考えますがどうでしょう。

2)市民と一緒に考える公共施設再配置について

・この間生涯学習センター機能の移転、市民プラザ購入を始め、つい最近は消防署本庁の移転、幼保一元・認定こども園整備、清掃事務所の移転・整備、小学校の統合など出されています。そして新年度「公共施設等総合管理計画」が策定され、総じて公共施設の在り方が示される状況です。

 今日すでに計画として出てきている公共施設の課題において、住民への説明不足、納得と了解を得て作業すすめるという自治体としての資質に欠如している現象が見られます。このことはしっかりと反省し、住民のための奉仕者公務員として、認識を新たにし、合意に至っていない事案は真摯に住民と話し合うべきと思いますがどうでしょう。
これからやろうとする「公共施設の再配置等は市民の声を聞いて行います」とは裏腹な事象が起きないように、また「先行逃げ切り」的事業運営をやってしまったというそしりを受けないためにも、主体者は住民であることを貫くべきです。

3)キセラ川西地域の財政と環境問題について

・区画整理事業、複合施設建設と大きな財産が投資される地域です。これから公園整備もされますが、環境がずいぶん変わる中で、理想としている低炭素型地域へ変身するのか。都市計画道の整備などで、自動車の流入が多くなり、低炭素のまちづくりに反する方向も一方に見えており、それらを含めた街としての整合性はどうしていくか、

・また区画整理事業だけで100億円、複合施設で93億円、その他事業などでおよそ200億円が投入されます。

 ここへたどり着くまでにも、利子等を加えれば300億円を超える税金が投入されているのです。現在進行中の事業の財政的見通し、投資効果などお聞きします。

4)川西南部のまちづくりと既存住民への配慮について

・何十年と騒音に苦しめられ、事故への不安を抱えたまま生活されてきた住民のみなさんへ、一定配慮した「まちづくり」が推進されているが、新関西国際空港会社による空き地売却も「一般競争入札」が導入される直前でもあります。住民に、より配慮した事業推進を、新関西国際空港会社へ要請しながら進めるべきと思いますがどうでしょう。

7.豊かな水と緑共生プロジェクトについて

1)次世代へ引き継ぐ自然環境の保全について

・新名神高速道路及び関連道路工事で行った開発で森林が失われました。地域計画作成でさらなる開発が可能になりました。川西市が目指そうとしている、次世代へ引き継ぐ環境の保全とは一体どんなものなのでしょう。

2)民地における緑化保全への支援について

・黒川地域以外の現存緑地は人の手が入りにくい状況にあります。住宅に近接している緑地ほどその傾向があるのではないでしょうか。環境を豊かに保全する緑地であるならば、行政として存続な支援すべきではないかと考えるがどうか。

8.こころ豊かな子ども育成プロジェクトについて

1)「こころ豊かな育成の本質」はなにかについて

・外国語を習得することに反対するものではありません。積極的に習得し、諸外国の人々と幅広くつながっていくことが大切と考えます。しかし収得する時期、内容にははなはだ問題があると認識しています。

 私はもっと日本語の素晴らしさを学習する時間をしっかり取ってほしいとも願う一人です。しかしすべての学習は日本語でやっているから、強いてやる必要はないとされてきました。

 しかし日本語が乱れてきているのではないでしょうか。日本語による「表現」の幅が狭くなってきているのではないでしょうか。日本語そのものがだんだん消えているようにも感じます。心の豊かさを育成するためにも、日本語による表現が充実するような教育が必要と考えますがどうでしょう。

2)子育て推進の環境づくりについて

・「少子化」をマイナスとしか見ない、「財政的に合理化するチャンス」としか見ない傾向が、とくに子育てに関して見受けられます。

 なぜ「少子化によって十分な人間育成のチャンスが訪れた」と見ないのか、教育的見地が貧しいのではないかと思える政策運営が続いている。十分な施策推進へ全力を尽くすべきであると考えるがどうか。

9.いきいき健康・長寿プロジェクトについて

1)市民のための市立川西病院改革プラン作成について

・新年度に作成される予定です。市立川西病院の存続にかかわる状況が続きやっと明るい光が見えてきたかに思えるこの時期、市民、周辺町民の命を守る公立病院として、しっかりした理念と、現実的な改革プラン、実効性のある計画を作っていくべきだが、基本的な考えをお聞きします。

2)移動困難な市民が楽しく暮らせるまちづくりについて

・川西市内で「限界集落」地域をつくってはなりません。所信表明されているように、年を重ねても元気で社会参加され、それがまちの元気へつながっていく、よき連鎖を生み出す施策を推進すること。

 特に身近な商店など活用し、毎日の生活が成り立つ、コンパクトシティへの取り組みをしっかりとやっていくべきと思うがどうでしょう。

10.川西の魅力発見・発信プロジェクトについて

・国や県管理の猪名川、最明寺川等を市民の憩いの場として活用し、各地の遺跡、周辺の緑地、身近な河川・水路を活用した周遊散歩コースをつくってはどうでしょう。市民の健康増進へも大いに活用されると思うがどうでしょう。