2021(令和3)年度予算編成にあたっての要望書

2020年11月16日

川西市
市長 越田謙治郎 様
教育長 石田 剛  様

日本共産党議員団
黒田美智
北野紀子
吉岡健次

2021(令和3)年度予算編成にむけた要望書(前文)(このページの内容)
2021(令和3)年度予算編成にむけた要望書(重点項目)
2021(令和3)年度予算編成にむけた要望書

2021(令和3)年度予算編成にあたっての要望書

 今年は、未曽有のコロナ禍により国民・市民の生活は困難を極めています。

  再び全国で感染者が激増するなかで更なる不安が広がっており、感染拡大を抑えるためにもPCR検査の抜本的な拡充と医療現場への支援や生活・営業を支えるため追加の支援策など、国や自治体が喫緊に取り組むことが必要です。

 長引く不況により個人消費が冷え込み続け、昨年10月消費税の10%増税とコロナ禍により、国内経済は大幅に悪化し貧困と格差がこれまで以上に大きく広がりました。今すぐ消費税を5%に引き下げて景気を回復させること、国民の消費を増やすとともに生活を守り支えていく政策が必要です。

 9月より菅内閣が発足し、菅首相は所信表明で「自助」を強調しました。苦しむ国民に対し自己責任を押し付ける姿勢は許されず、政治の責任は「公助」であることを強く求めていかなければなりません。また、学術会議の任命拒否問題など安倍政権以上の強権政治を進めようとしており看過できません。

 来年度の予算編成は、7年連続で100兆円を超える内容となり、コロナ感染症対策を優先枠としていますが、感染予防よりもGOTOキャンペーンなど一部の人しか利用できない景気対策に傾いており、内需拡充には疑問です。年金が目減りする高齢者への医療や介護の負担を増やすなど社会保障を抑制しています。教育においても公立小中学校での少人数学級実現が「事項要求」されたものの実現可否やその水準については不明慮です。

 一方、マイナンバーカードを普及されるための(仮称)デジタル庁設置準備や運営経費を盛り込み、軍事費は米軍新基地建設費などを継続し6年連続で5兆円を超え、国民生活が置き去りです。

 2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」は、10月に50ヵ国の批准を達成し来年1月22日に発効されることになりました。川西市議会では、2019年3月に政府に対して本条約に署名・批准を求める意見書を提出しました。地方から核兵器廃絶に向けた大きなうねりが起き、全国でも500に迫る自治体から提出されています。

 毎年、前例のない大災害に見舞われ、地球温暖化対策が全世界的な課題となるなか、低炭素化、再生可能エネルギーの促進など環境対策の動きを求める声が強まっています。

 しかし、日本はアメリカに追随、後ろ向きな態度は国際社会から批判の的となっています。

 世界的にジェンダー平等社会が進むなか、性的マイノリティーへの取り組みとして、今年8月に「川西市パートナーシップ宣誓制度」が導入され、人権問題として前進しました。個人の尊厳を大切に、全ての人々が輝ける社会、ヘイト等の差別を許さずあらゆるハラスメントの根絶、人権を守る国や自治体の姿勢が大切となっています。

 昨年よりスタートした「幼児教育の無償化」により、3歳児保育や給食、延長保育を実施していない公立幼稚園の定員割れが拡大し、施設の存続を危ぶむ子育て世代や地域に大きな不安や懸念が広がっています。

 働き方改革が進められるなか、子育て世代の負担軽減や保育施設の整備、保育の質の向上、0歳児から2歳児の保育無償化等、市にとって大きな課題であり解決が必要です。

 コロナ禍により高校・大学・専門学校に行けない学生も多く、リモート講義等が続く一方で、保護者の収入減やアルバイト解雇などにより、学費や生活費が捻出できなくなるなど、退学せざるを得ない状況が続いています。学費免除の緊急対策を行うこと、幅広く受けることができる給付型の奨学金制度が必要です。

 また、中学校給食や中学校卒業まで子どもの医療費無料化の早期実現を多くの保護者・市民が願っています。市として安心して子育てできる環境を整えることが喫緊の課題です。

 市はこの間職員を大幅に減らしてきたうえに、会計年度任用職員制度が導入されたことにより不安定雇用の拡大、労働環境が悪化し市民サービスに影響が現れています。

 全国的にも低賃金と非正規雇用により不安定な生活を余儀なくされる市民が増え、最低賃金の大幅な引き上げと継続的に働け8時間働けば普通にくらせる労働環境整備が急務です。市として市民へのサービス低下を防ぎ、職員が公務員としてやりがいをもって働くことができる労働環境を整えるべきです。

 昨年4月から指定管理者制度による管理運営が始まった市立川西病院では、医療・看護等の職員が減り患者の減少傾向が続くなか、情報発信が少なく市民に不安と不満が蓄積されています。感染症対策を含め、改めて公立病院としての役割が問われています。

 さらに、現病院跡地に今井病院の移転計画が出され、これまで約束だった北部診療所との2者択一を迫る市の進め方に対し、市民には不安と憤りが増大しています。

 「(仮称)川西市立総合医療センター基本構想」は一旦立ち止まり、「参画と協働のまちづくり推進条例」に則り市民との対話を重ね、近隣3町との連携を含め進めるべきです。

 市は、憲法の理念、地方自治法の理念に則り「住民福祉の増進」を政治の基本として貫くべきです。南北に細長い川西市は、自然環境もよく優良な住宅都市として発展してきました。「どこに住んでいても、安心してくらし続けることができるまちづくり」を根幹に置くことが重要です。国の制度が悪くなるなか、自治体には市民の生活・くらしを守る防波堤の役割が強く求められます。より魅力あるまちへと発展させ、高齢者への対策と世代継承を進めるためにも近隣市より遅れている子育て施策の充実は喫緊の課題です。

 安心してくらせる社会保障やサービスの充実を図り、住民に寄り添った施策を職員一丸となって展開することを求めます。

 私たち議員団に寄せられた市民の声をもとに、市民を真ん中に置いた施策が実行されるよう、2021年度予算編成に際し別紙のとおり具体的に要望します。