川西市国民健康保険事業特別会計決算認定に反対

2012年10月 黒田みち

認定第15号平成23年度川西市国民健康保険事業特別会計決算認定について、日本共産党議員団を代表して反対の立場で討論を行います。

平成23年度は、平成22年度に比べ、賦課限度額が医療給付費分で4万円・後期支援金分で2万円・介護納付金分で3万円の値上げ、最高9万円、限度額が77万円になるという大幅値上げになりました。24341世帯(市全体の36.1%)、42378人(同26.4%)の加入者に平均5.11%の値上げ、約2億円もの値上げ実施をした年度となり、本決算に反対です。

 国民健康保険事業は、憲法25条に基づく社会保障制度。国民健康保険法第1条で社会保障及び国民保健のための制度と規定し、第4条で運営責任は国にあるとしています。

しかし、国は責務を果たさず、国庫負担金・国庫補助金を減らし、自治体独自の福祉医療などへの支援施策に対してペナルティを課すなど保険税を値上げせざるを得ない状況に拍車をかけ、恒常的に滞納者を出し続ける悪循環制度となっています。

平成14年度と平成22年度の比較では、国民所得は96%まで落ち込み、一人あたり国民所得では12万6000円も減っている中で、平成20年度から後期高齢者医療制度が実施されたものの、国民健康保険事業の予算・決算額の比較では、H14年度からの10年間で1.6倍にも膨れあがっているにも関わらず、国の負担金・補助金の額はH14年度比93%まで引き下がっています。

「保険税が払えない」「払うと生活が苦しい」「保険証はあるが窓口負担がきつく病院に行けない」など深刻な状況に拍車がかかっている原因は、市民にあるのではなく、国の政策の側の問題です。

私達日本共産党議員団は、この間ずっと、近隣市並みに一般会計からの法定外繰り入れを行い、保険税値上げをすべきではないと要求してきました。しかし川西市は、H20年度は、後期高齢者医療制度の導入と共に、「公平性」「公正性」という言葉で、H19年度に法定外繰り入れを一人あたり5656円繰り入れしていたものを244円まで減らしました。

また、平成21年度も329円しか繰り入れませんでした。結局、赤字を積み重ね、本決算のH23年度は、大幅値上げを実施したものの、7億円を超える赤字決算となっています。

赤字を出したら保険税を値上げする・・・このいたちごっこでは、市民は救われません。保険税の収納率は、現年度分で8割台ですが、軽減措置がなくなる世帯では6割台となっています。

担当窓口では住民の相談に丁寧に応じておられることが、委員会審査の中で明らかになりました。国民健康保険法44条の利用や生活支援課との連携などの取組みを強化されているものの、所得の1割を超える保険税世帯があること、市民税所得割方式から旧ただし書き方式への移行により、多人数世帯の大きな負担、後期支援金分の負担が拍車をかけており、窓口対応だけでは限界がきています。

国民健康保険制度そのものの構造的欠陥を抜本的に変えていくよう、国の責務を果たすべき財政負担をしっかり行うよう国に対して強く求めること、また、市の政策判断として抜本的な予算措置、一般会計からの法定外繰り入れを十分行い、市民が払える保険税にしていくことを強く求め反対討論とします。