平成24年度川西市介護保険事業特別会計決算認定について反対討論

日本共産党議員団 北野のり子

「日本共産党川西市会議員団ニュース」第30号(2013.11)

 認定第11号 平成24年度川西市介護保険事業特別会計決算認定について、反対討論を行います。

 介護保険制度スタートから13年、介護保険利用者は増えましたが、家族の介護を理由に仕事を辞めざるを得ない「介護退職者」は、毎年10万人以上、老老介護、介護殺人、介護心中など痛ましい事件も絶えません。行き場のない「介護難民」も生まれ「介護の社会化(家族が支える介護から社会が支える介護へ)」「利用者本位」という当初のスローガンは、風前の灯となっており、「介護の危機」というべき状態にあります。こうした中、2012年度は、「改正」介護保険法が施行され、同時に介護報酬改定。報酬引き下げは、介護労働者の離職を促進し、労働者、事業者の存続を脅かし利用者の困難を生みだします。加算偏重ではなく、介護労働者が生活設計を描けるような賃金水準にするために介護報酬本体の適正な引き上げを行うと同時に介護保険料に跳ね返らない仕組み、制度の改善が必要です。

 3年間の「第5期介護保険事業計画」が策定されスタートの年となり、介護保険料の料金改定が行われました。保険料は、県の財政安定化基金から約6541万円と合わせて市の準備基金から4億5800万円を活用し保険料上昇の抑制に充てられましたが、基準月額310円の値上げ、4210円となり、後期高齢者医療保険料値上げと重なり、さらに年金が減額している中、年金生活者には大きな負担となっています。県に対しさらなる基金の活用を求め、国に対しても財源確保を求めるべきです。

 また、「改正」された介護保険法は、さまざまな制度矛盾を放置したまま「地域包括ケアの実現」と「持続可能な制度の実現」を掲げ、「給付重点化・効率化」を本格的に推進し、「保険あって介護なし」の事態をさらに深刻化させています。

 地域包括ケアの目玉であった24時間体制の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスは、市では「やって欲しい」という声がないとのことですが、このサービスは、他のサービスを受ける制約が生じたり、24時間対応の人材確保など課題も多く、全国的に見ても実施自治体は7.6%と少数で政府見込みが甘かったことが明らかになっています。

 また、訪問介護は、生活援助の見直しによって時間区分が再編され、介護報酬引き下げにより、生活後退が生じるなど利用者・家族の生活に重大な影響をもたらしています。時間短縮によって、「時間が足りず掃除のし残しがある」「調理の時間がなくなり、そう菜やコンビニ弁当になった」「利用者と会話する時間がなく、体調変化に気づきにくい」など、深刻な被害が広がるなど「丁寧な介護」が行われにくくなっています。現場で何が起こっているのか把握に努め、介護報酬を元に戻すよう国に求めるべきです。

 地域の高齢化が進展していく中で、「市として、わがまちの地域包括ケア」をどうつくりあげるのか、高齢者の願いにかなうものとしてどう実現させるのかが問われています。
高齢者・家族が求めているのは、「医療も介護も」、「施設も在宅も」、「軽度も重度も」保障される制度への転換です。住民の負担軽減や安心で持続可能な介護保険制度にするためには、国による公費負担の拡充、制度改定が必要です。

 いま、政府が閣議決定した社会保障制度改革「プログラム法案」は、要支援1.2は介護給付の対象から外す。特別養護老人ホームの入居者は「要介護3」以上に限る。所得によって介護保険利用料を2倍に引き上げる。低所得者でも預貯金や不動産があれば、施設の居住費、食費を補助しない等の大改悪メニューが目白押しです。市として国に対して「要支援外し」の中止等、改悪をやめ制度の改善を求めることを申し上げ反対討論といたします。