人間の尊厳を大切にした社会保障制度としての介護制度へ

要支援1・2を介護保険給付からはずさないよう国に意見書を求める請願についての賛成討論

2013年12月議会(2013.12.4.)
黒田 みち 議員
「日本共産党川西市会議員団ニュース」第35号(2014.2.)

 1997年(平成9年)、社会保障関連予算などを大幅に削減する「財政構造改革法」が11月に成立、その後12月14、第1回臨時国会で「介護保険法」が成立しました。

 従来、老人保健福祉計画は「税」による自治体の責務でサービス提供を行っていましたが、国・都道府県・それぞれ自治体の財政支出を抑えるため、2000年(平成12年)4月から、「介護を社会の責任で支え合う」として、40歳以上の国民から介護保険料を徴収する「社会保険方式」に転換して現在に至ります。

 介護保険料の算定は、それぞれ自治体の介護保険計画に則って、負担割合を公費5割、保険料5割にしたため、(1割のサービス利用料も含みますからこの限りではありませんが)「人間の尊厳を大切にして必要な人が自ら選択してサービスを受ける」目的を果たそうと介護サービスを利用すればするほど「保険料」がはね上がることになります。

 保険料を支払った上に1割のサービス利用料を支払うのですから、「必要なサービスを利用する」というより「経済状況で受けるサービスを決めざるをえない」「保険あって介護なし」とまで言われる状況になっています。その上、高齢者が増えていく状況のなかではおのずと介護サービスを利用する人が増えるのは当たり前のこと、「良いサービスを受けたければお金を払いなさい」逆に「お金の負担ができなければそれなりのサービスで我慢しなさい」という制度になっています。

 そしてとうとう、高齢者が増えていくことを見据えながら、国の財政負担を減らすため、「介護保険制度の持続可能」のためにという枕言葉を使って、今回請願趣旨にあるように「要支援1・2の人を介護保険給付から外す」ことが提案・具体化されようとしています。

 全国150万人の対象者がいる状況下、市町村や利用者、事業所などから反対の声が広がり、現在、要支援者向けサービス費用の約4割を占める訪問看護、リハビリ、訪問入浴介護などは保険サービスに残す方向が見えていますが、同サービス費用の6割を占める訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)は市町村丸投げに固執しています。

 国は、ボランティアの導入や、事業者への報酬単価引き下げなど今でも困難な経営を余儀なくされている事業者や介護労働者に追い打ちをかけようとしています。介護を支える事業者から専門職としての誇りや展望を奪うものだと批判の声が上がっています。

 国が事業費そのものの上限額を設け、各自治体に削減計画を策定させようとしているのですから、サービスの低下が余議なくされてしまいます。障がい者が65歳になれば「優先的に介護保険に移行させる障害者総合支援法の導入を含め、利用者負担2割への引き上げや特別養護老人ホームの低所得者への食費や居住費補助縮小などまさに社会保障制度から国民を締め出すひどい改革案です。

 自治体によってサービスの格差が広がることへの懸念、社会保障への国の責任を明確にし、財政負担するようにと厳しい意見が日本介護福祉士会、全国町村会などから出されています。

 高齢化は突然やってくるものではありません。高齢者人口の推移や認定割合など予想の下、国としての財政措置をすることが責務です。

 「持続可能」という言葉だけを使って「必要なサービスを必要な人に提供する」元々の目的をないがしろにし、「経費削減」のためだけに制度改定に突き進むのではなく、「人間の尊厳を大切にした社会保障制度」としての介護制度となるよう「要支援1・2を介護給付からはずさないでほしい」という意見書を国に対してあげていただきますようお願いを申しあげて本請願賛成の討論とさせていただきます。

要支援1・2を介護保険給付からはずさないよう国に意見書を求める請願
 ※否決しました(議長・吉田)敬称略

賛成した議員 住田・北野・黒田
反対した議員 宮坂・北上・吉富・岡・津田・福西・土田・森本・秋田・大﨑・鈴木・平岡・大矢根・江見・宮路・久保・梶田・安田末廣・小山・多久和・安田忠司