25年度川西市国民健康保険特別会計決算 反対討論

 認定第12号「平成25年度川西市国民健康保険事業特別会計決算認定について」
日本共産党議員団を代表して反対討論を行ないます。

2014.10.09. 日本共産党川西市会議員 黒田みち

 平成25年度は、医療給付費分が所得税率6.45%、均等割25800円、平等割20200円に、後期高齢者支援金分が、同2.65%、均等割9800円、平等割7600円に、介護納付金分が、同2.75%、均等割10400円、平等割7600円に改定され、決算委員会で明らかになったように、約3億6800万円の大幅な値上げになった年度であるため認めることは出来ません。

 大幅な値上げ率、額だけでなく、国の賦課限度額の改定が行なわれなかったために所得の低い世帯にこの値上げ分が集中した年度です。

 結果、平成25年12月では、有効期間が半年という短期被保険者証発行世帯が1979世帯、医療費の10割負担を余儀なくされる資格証明書発行世帯が89世帯となっています。

 また、差し押さえ件数は874件(前年度比5.75倍)、1億8571万3780円(同7.12倍)となっています。

 国民皆保険制度としての国民健康保険事業は、社会保障制度として、国民のセーフティネットでありながら、国が国庫負担割合を変えたことによる財政的問題、加入者の経済的脆弱さなど構造的問題を大きく抱えながらも抜本的な解決を行なわず、それぞれの自治体が保険税の値上げで対応してきました。

 結果、払いたくても払えない、払ってしまうと生活が成り立たないなどの矛盾を生みながらも、ペナルティが強化され、保険証そのものが取り上げられる、無保険によって命そのものが奪われるなどが全国的な社会問題となりました。

 そのペナルティのひとつが差し押さえです。

 「法律に則って」という答弁で終始されましたが、同じ法律を読み解いているのに、なぜ、それぞれの自治体によって件数や額に大きな違いが生まれてくるのでしょうか?!まさに、憲法の基本的人権の堅持という視点で市民を見ているか、もしくは「悪質な滞納者」という言葉を使って市民に対応していくかの違いそのものです。

 鳥取県児童手当差押事件判決をどう読み解くのか、国税徴収法・地方税法の納税者の保護・基本通達から川西市は何を学ぶのか?なぜ、国税庁から何度も課長通知などがだされるのか?そもそも「市役所」は何のためにあるのかを再考すべきです。

 また、川西市が市民のために、重度障がい者のためや乳幼児・こども医療費への支援を行なえば、国がペナルティとして、平成25年度だけでも1億2266万4373円も減額されていることなど本末転倒ですから、自治体の役割を明確にきっぱりと国に対して意見を述べるべきです。
一般会計からの法定外繰り入れは額面だけみると「4億2994万8000円」、阪神間の各都市の一人当たり法定外繰入額とひけを取らないように見えますが、内容は、平成24年度までの赤字分(繰り入れをやめたことでの赤字分、値上げをやらなかったことでの赤字分)の穴埋め分が2億4000万円、今回の税率改定への緩和策としては1億8000万であるということも明らかにしておかなければなりません。

 国は、後期高齢者医療保険制度のように、都道府県単位にしようとしていますが、国の財政支援を増やさないまま移行すれば今起こっていることに拍車がかかり、矛盾が広がるだけです。

 まして、市が独自で行なっている「一般会計からの法定外繰り入れ」や「丁寧な納付相談、軽減、減免対応」ができなくなり、より機械的に市として「悪質な滞納者」を数多く作ることとなります。

 そもそも「国民健康保険事業」とは何か?「命のとりで」としての社会保障制度であること、川西市は「市民の役に立つ自治体」としての責務を全うすべきと強く意見を申し上げて反対の討論とさせていただきます。