請願第2号、安倍内閣の「安全保障関連法」に抗議し、撤回を国に求める請願書について日本共産党議員団を代表し、採択すべく、賛成討論を行います
2015年6月16日
日本共産党議員団 住田由之輔
なぜ請願に賛成するのか、三つの点で訴えます
その理由の一つは、問題にされている二つの法案、「国際平和支援法案」、「平和安全法制整備法案」が、憲法違反・憲法9条に違反する法律であるということです。
日本は立憲主義の国家です。日本国憲法を中心に民主主義国家として成熟してきています。憲法を国の最高法規として整え、国民の安全・くらしを守る国として成り立っています。
請願審査の過程で、憲法が我が国の安全保障環境に対応しきれないとの議論があります。それは現状をさかさまに描いている論調であり、よしんば憲法が現状と会わないならば、その憲法をまず変えるべきです。変えるための民主的な手続きも憲法は保障しているのです。合わないことをもってして、憲法に反する法律を容認することは、立憲主義・議会制民主主義そのものを否定することになります。
6月4日、国会衆議院憲法審査会において、自民党、民主党、維新の党が推薦した参考人3方全員、安全保障関連法案は「違憲」・憲法9条に反すると断言されました。尊重されるべき発言です。
ところがこれに対して、政府がとってきた、「集団的自衛権行使は憲法違反」として来たことと、今回の法案の「集団的自衛権行使は憲法違反でないとしているところに齟齬はないとの見解を発表しています。その根拠が「砂川判決・高等裁判所の判例」でした。しかし判例に書かれてもいない「集団的自衛権行使」を、書かれていないから合憲と勝手に解釈したのだと法案作成の先頭に立ってきた、自民党、高村副総裁は発言しています。さらに、自衛隊創設時も憲法9条違反だが政治判断で創設したことを持ち出し、憲法違反でも政治家が決断した法律は憲法をしたがわせると、高慢な発言もしています。
この法案作りの先頭に立ってきた高村副総裁が、この程度しか弁明できないほど、「安全保障関連法案は憲法違反であることが明確」になってきました。
また政権与党・公明党の代表として法案を取りまとめてきた北側副代表も、これまでの政府の合憲判断の範囲で「武力行使の新3要件」は合致していると弁明しています。しかし根拠としている1972年当初の政府見解と違う、肝心な一点、これまでの評価を変更した点について、現在の安全保障環境が変わってきたため、政府として「集団的自衛権行使は憲法の枠の中と解釈した」昨年7月1日の閣議決定を行ったことによって「合憲」になったと、集団的自衛権の行使がこれで可能になったと、変更したことは認めながら、大きく変えたことも、小さいことのように発言されています。自らつじつま合わせを暴露されているわけですから、まさに政権与党が決めれば、憲法を超えた法律をつくることが許されるとしたのです。
これほど危険な考えはないのではないでしょうか。立憲主義を根底から崩す理屈です。逆にそれしか立つ瀬がなくなったのが法案提出の与党の今日の姿です。
ですから昨日の国会討論で、中谷防衛相は、砂川判決の最高裁判例をもち出すことができなくなっています。現憲法の枠の中としてきたものがすべて崩れているのです。この状況の中でさらに押し通すことは、国会の数の多さで押し切ってしまう暴挙、強権政治です。それを許していいのでしょうか。
わたしは、政治家の一人として、憲法の下で政治を行う「日本国」であるべきだという信念をもって、請願の趣旨に賛同するものです。
特に「安全保障関連法」が憲法9条に合致するかしないかが争点になっており、合憲とする根拠が「閣議決定した」のだからしか残っていません。
二つ目の理由は、「安全保障関連法」によって、私たちの安全が守れないということです。より危険な状況が作られてしまいます。
陸上自衛隊第3方面隊総監部が、伊丹市、川西市にあります。隊員が川西市内からも通っておられます。またその家族も川西市に住んでおられます。その皆さんの心痛はいかばかりでしょうか。法案が成立すれば隊員の皆さんのリスクは高まるばかりであり、私達も他所事ではありません。
成立させようとしている法案は、日本が武力攻撃を受けていない状況の下、時の政権が「新3要件」に合致すると判断すれば、「非戦闘地域」までしか派兵しないとしてきたこれまでの法律の中身を取り払い、戦闘地域ではないが、戦闘が行われる可能性を否定できない周辺まで自衛隊を送り、日本の造語である後方支援、実態は戦争の一端である『兵站(たん)』を行うことができるとしています。
この兵站は、当然前線で戦闘を行う軍隊に対して日本が、武器、人員等を提供・搬送したりする行為です。提供する相手は、我が国と密接に関係する国、想定できるのはアメリカです。なぜその状況が作られるのか。アメリカという国が作り出すのです。
アメリカという国は、「自国の利益のために他国を先制攻撃する」とした国の方針をもっています。ですから大戦以降の70年間、各地で侵略戦争を起こしてきました。明々白々な侵略戦争に対して日本政府は「反対」したことが一度もありません。
特に日本国総理の安倍さんは、国際的に常識である、第二次世界大戦時の、日本が諸外国に侵略戦争を起こしたことを認めない人物です。「まちがった戦争」を「間違った戦争と認めない」人物が、アメリカのやることになんでも追随し、日本を危険な状態へ落とし込もうとしているのが現在の状態です。他国の防衛のために武力の行使ができるとしているのです。こんな安倍さんの目指す方向に皆さんは追随されるのでしょうか。平気で人を殺す侵略戦争に日本を巻き込むことを認められるのでしょうか。その片棒を担ぎ、私たちの身近で暮らしている自衛隊員を海外に送り出し、敵を殺してこいと激励されるのでしょうか。私は絶対にいやであり、させてはならないと訴えたいのです。それだけの重みを持っている判断を私たちは今迫られているのです。将来へ禍根を残さないためにも、平和な日本を守りきる川西市議会の態度を表明しようではありませんか。
日本とアメリカは、新しい日米軍事協力の指針、ガイドラインにおいて、戦争法発動の際は、民間空港もアメリカと共同の軍事基地として使用するとしています。このガイドラインにおいては、日本の自衛隊は、アメリカの指揮の元に入ることになっています。ここでも「アメリカの利益のために起こす戦争に加担」させられるのです。アメリカのために日本人は命を張れと指揮されるのです。
毎年日米で、コンピューターなど駆使した図上訓練・指揮所演習が行われています。「ヤマサクラ作戦」と命名されていますが、伊丹市にある、陸上自衛隊第3方面隊、総監部でも行われた実績があります。この総監部の中にアメリカ軍基地も含まれていますから、戦争体制になれば、まさに軍事基地と隣り合わせで生活することになるのが川西市民です。その不安をだれが解消するのでしょう。このことが安全な国づくりと言えるのでしょうか。
民間空港も軍事基地としてアメリカと共同使用されます。大阪国際空港からの出撃も想定されるのです。川西上空の安全が脅かされることになります。市民の暮らしに直結し、くらしの安全が脅かされる状況が容易に想定できるわけで、責任ある川西市としても、市民の安全確保のため、国へしっかりと意見を伝える責任があります。ほっておくことはできません。
三つ目の理由は、各種世論調査で圧倒的多数の国民が反対または今成立させるべきでないと判断されていることです。民意は尊重されるべきではないでしょうか。党派を超えて、8割以上が、今『安保関連法案成立は見送りなさい』と言っておられるのです。政権与党からも反対の声が出始めています。この民意に真摯に耳を傾けるべきです。
だって皆さん、私達の身近に住む子ども世代、孫の世代の若者が、非戦闘地域へ派兵されただけでも54名の隊員が、自ら命を絶っているのです。通常の社会ならば5000人に一人、が派兵された隊員の間では300人に一人の割合になるのです。そのことを含めて市民は・国民は心配されているのです。
憲法学者3人が参考人質疑で憲法違反を表明されましたが、おなじように憲法学者220名の方が安全保障関連法は『憲法9条に反する』と表明されています。政府は「賛成している憲法学者も多数いる」と言っていましたが、名前が公表されたのは10名足らずで、これを多数という自民党幹事長の見識はいかがなものでしょう。今日の新聞では、学者2600名を超える方が、法案反対を表明。演劇人36団体が、1960年の安保闘争以来、政治的な場面での発言、「戦争法反対」を表明。これまでも弁護士、地域医師会など多数の団体が「反対」の意思を表明されています。奈良県の川西町議会でも、廃案を求める意見書が採択されるなど、たくさんの団体、個人が「戦争する国づくり」に反対を表明されているのです。
しかし、午前中の議論でも出てきておりましたが、自衛隊員募集の一助にと、川西市内の中学生の名簿が、自衛隊に渡されています。保護者の了解なしにです。その数は2013年が1510名、14年が1612名です。一方「トライやるウイーク」で、自衛隊基地内での就労参加が推進されています。十分な市民合意を得ずに行われており大きな問題です。私たちはこれら撤回を要求します。
請願2号に要請されている、「戦争法案」と呼ばれている安全保障関連法案に抗議し、撤回することを国に求めていこうではありませんか。合わせて、川西市議会として憲法を守り活かす取り組みを自らも希求し、国へも訴えようではありませんか。請願への採択よろしくお願いします。
請願第3号、戦争につながる安全保障関連2法案(国際平和支援法案、平和安全法制整備法案)の今国会での成立に反対する意見書を国に提出することを求める請願については概ね2号と同じ趣旨で賛成します。