2016年12月定例市議会:住田由之輔 一般質問

 (一括質問・一括答弁方式)

 2016年12月2日おこなわれた12月定例市議会で住田由之輔議員が一般質問を行いました(一括質問・一括答弁方式)。質問内容を紹介します。

2016年12月2日 住田由之輔

2016年12月定例市議会 一般質問

 「平成29年度予算編成プロセス」を市のホームページで公開するとして、「平成29年度予算編成方針について」が示されました。

 その内容を踏まえて質問をします。

1.平成29年度予算編成方針が遅れた要因と「予算二次要求」に対応することになったことについて

①通常より1か月ぐらい遅れているように感じられますが、遅れた要因は何によりますでしょう。

②二次予算要求の概算はおおよそどの程度になるのか、それぞれの担当職員が配慮する「割合」として、負荷がかかるのかどうかうかがいます。

2.国の方針「新3本の矢」についての現状認識と川西市への反映について

1)「新3本の矢」が日本経済活性化に寄与するのかについて

・「3本の矢」も「新3本の矢」も破綻してしまっていると私は認識しますが、昨年に続き、国の方針をそのまま予算編成で示した根拠について、改めて示してください。

 と言いますのは、安倍第二次内閣が2012年12月発足して丸4年が経過します。華々しく「3本の矢」が放たれました。「金融緩和」「財政動員(公共投資)」「成長戦略」なるものです。デフレからの脱却をうたい文句に、日銀に大量の国債を発行させ、ゼロ金利を推進し、間接的に国債の受け皿までやり、大量の年金基金まで投機に投入したにもかかわらず、目標とした物価高2%はおぼつかず、完全に破たんしてしまいました。

 結果国と地方の借金は1060兆円を超え、GDPの2倍以上になっています。世界に類のない、借金大国になっているのです。4年前と比べても増えました。

 安倍首相は、TPP推進と地方創生を掲げ、「世界で一番企業が活動しやすい国」にするとして、資本金10億円以上の企業が持つ内部留保資金を4年間で約40兆円積み増ししています。ところが勤労者の実質所得は4年間減り続けています。

 このような中、昨年9月「新三本の矢」を打ち出したのです。ちょうど安保法制案が国会で山場を迎えた直後です。

 一億総活躍社会なる言葉を持ち出し、「強い経済・600兆円の国民総生産」「子育て支援・特殊出生率1.8へ」「介護による離職者ゼロ」を発表しました。国民の不満を逆手に取ったような標語でもあります。

 ところが今や世間では「新三本の矢」も言わなくなりました。言葉も破綻してしまったようです。予算方針をみるかぎり、このような安倍政治を踏承されているかに見えますが真意はどうでしょう。

2)国の方向が「人口減少と地域経済の縮小」に歯止めをかけるものとなっているのかについて

 川西市においてこの「新三本の矢」はどのように影響しているのでしょう。人口減少に歯止めをかけてきているのか、地域経済を活性化してきているのでしょうか。

 地方行政では国の指導の下、平成27年度末までに、地方創生総合戦略の基本目標と人口ビジョンを作成しています。

 川西市は人口ビジョンでは「川西市の人口は減少する」という前提のものをつくりました。人口増という言葉も、現状維持という言葉もありませんでした。
 国が示した「新3本の矢」㋑600兆円の経済㋺希望出生率1.8㋩介護離職ゼロという政策は「人口減少と地域経済の縮小」に歯止めをかけていくとの考えでありましたが、各自治体からでてきたプランの多くが「増田レポート」の自治体消滅論に基づいて、減少する傾向をとったのです。最初から国の目標は絵に描いた餅になってしまっているのです。

 にもかかわらず言葉としては、「人口減少と地域経済縮小に歯止めをかける」になっているのです。このように掛け声だけの目標に頼る川西市政とはなんなのでしょう、お答えください。

そして

 3)国の方針を丸ごと受け入れる考えはどこから発生するのかについて

①国の方針を丸ごと無批判に受け入れると思えますが、そのように信用されている根拠はどこにあるのか。

②無批判に予算に反映するよう指導する「国の方針を受け入れる」市の方針とは、川西という地域性・特殊性を無視しているように感じるがどうか、お答えください。

3.総務省による「地方財政の3課題」等への認識と地方から見た国の課題について

3課題解消へ向かうためにとるべき政策として出されていると思うのだが、

㋑「保育と介護の充実、および必要な財源確保」
㋺「歳出抑制、一般財源総額の確保」
㋩「アウトソーシングや自治体財政の見える化」など、国がやろうという「地方創生」に従った方針に見えてしまいます。

 その国の基本的な考えは 「医療・社会保障分野での歳出抑制・削減」が基本です。また地方財政を削減させていくために、地方交付税算定方式をこれまでの「標準」的取り扱いから、公的分野の市場化を目指すことを前提にした、トップランナー方式に切り替えることです。これが安倍政権の目指す「地方創生」なのです。

 この方針に忠実に行政運営を行っていきましょうと「平成29年度予算編成に折り込んでいる」川西であると私は認識するのです。

 そのようなことでいいのでしようか。

 先ほど指摘した国の方向・「地方創生」を考慮して、以下4項目、それぞれにお答え願いたい。

1)一億総活躍社会の実現と地方創生の推進について

  「保育と介護の充実」がいわれています。保育に至る前段の事柄も問題です。若者が希望持って生活しているかということです。

 若者が正規の社員として、雇用条件が安定し、普通のくらしができる給与所得が確保できている状況でしようか。既婚率が下がる一方であり、その中でも正規社員と非正規社員では既婚率に大きな差が生じている実態があります。若者の4割が非正規労働です。この改善なしには「保育の充実」へも向かわないのではないでしょうか。

 同一労働同一賃金。女性の活躍が保障される社会的条件の確保もまた必要な条件です。そのことにより地域社会の活性化・地域での雇用と消費の循環につながることが地方を元気にする要件であり、少子化に歯止めがかかっていくと思われますがどうでしょう。

 これらを通して、地域での事業の拡大、消費の拡大が起こり、地域小規模商店や事業所の活性化につなげていくことになります。

 介護問題では、国による介護保険加入者、利用者への負担増とサービス低下が引き続き議論されています。「介護の充実」に逆行しています。

2)一般財源総額の確保と地方財政健全化等について

 当然考慮した運営が必要です。でも国が目指しているのは「地方の歳出抑制」でもあります。住民のくらしを度外視しての「健全化」が求められているのではないでしょうか。

 あくまでも住民のくらしをより良くしていくこと、何よりも弱者切り捨てにならない、最後は行政の力を借りれば生活が成り立つという安心感を住民が持って暮らしていただく社会環境が必要であり、そのための財源の確保、健全化であるべきですが、どうでしょう。

3)地方行政サービス改革の推進と財政マネジメントの強化について

「住民の福祉の増進」への寄与に尽きると思います。
職員の知恵と力を十二分に発揮できる庁内環境が必要と思います。「公的職責を果たす」「住民のための仕事」といったことを基本に研修を重ね、市民のための政策立案と執行をやれる能力を高めることが重要と思いますがいかがでしょう。

4)トップランナー方式導入への認識と29年度施策への波及について

  「公共施設の再配置計画」、それに先行する公共施設の老朽化対策などで、国が目指す、公共施設の縮小、小学校の統合、幼保一体化などでの施設縮小、福祉分野でのサービス縮減などが、まさにトップランナー方式にのっとり、住民福祉を後回しにし、「交付税獲得」のためとの理由でまい進しているのではと危惧をしています。

 すべての施策が、現在そして将来の川西市民の利益になるのかしっかり精査して進めていかねばなりません。

 安倍政権が基本政策とする「企業の儲け優先」という特殊な政治体制のもと、その方針をやみくもに受け入れていく姿が見え危惧するのです。住民あっての市政であり、そのことをかんがみてお答え願いたい。

4.「効率的な行政サービスの提供を実現」と結論付けたことについて

・国では愁眉の課題である少子高齢化や地域の課題に対して、積極的に取り込む姿勢と断定し、地方においては現在と同水準の一般財源で行うと方針を出しておられます。またこれらの課題に対応していくために「効率的なサービスの提供」と規定されていますが、

1)国からの予算措置の充実は見込めないと断定していることについて

・その根拠をはっきり示してください。

2)「効率的なサービスの提供」と支出抑制策を打ち出していることについて

・たとえば少子化問題で、「予算化したのに実施されていない中学校給食」は効率的なサービスからも外すということなのか、

・たとえば高齢化問題で、予算廃止と結論付けられているが、市民から反対の声が上がっている「お出かけ促進事業」など、民意に沿わず、廃止していくものは、行政の「効率的サービスの提供」を進めるから廃止と規定されているのか、方針案との整合性ではどうなるのか。

 このようなことが、国が示す方向にのっとって川西市として行う、「少子高齢化社会」対応策となるのかどうかお答えください。

5.実施計画の採否判断を「課題解決して」としたことについて

1)その考え方について

2)川西らしさはどのように作っていくのかについて

6.中期財政運営プラン・「平成30年度での収支均衡」について

 平成29年度から33年度の収支が示されています。その中で2点お聞きします。一点は

1)基金繰入に頼らないが、土地の有効活用資金に頼る運営プランの考え方について

 平成19年11月に発表された、20年度の「中期財政収支計画の目標」に、「平成23年度の収支均衡」を目指し、「基金残高を30億円」にすると書かれていました。あれから10年たちました。

 今回示された中期財政運営プランにおいては、「平成30年度での収支均衡」、「総合計画の着実な達成」「財政運営の持続性確保」の3点を目標として掲げておられます。

  「財政運営の持続性確保」の点においては、財政の均衡を図っても市民のくらしが守られていなければ、責任を果たしたことにはなりません。

  「平成30年度での収支均衡」においては、未利用地の活用ということで、5年間で差し引き5億700万円のプラス効果額。未利用地の売却として、 22億3300万円という数字が記載されています。特にこれらにおいては29年、30年の動きが大きく、中でも30年度は、これらにおいて13億7900万円に上り、そのことによって「収支均衡」が計画されているといっても過言ではないとみえます。
 「市民の財産の有効活用、売却益での収支バランスをとる」ということに対して、方便としての「基金繰入に頼らない」収支均衡というだけで、特に土地の売却益は、将来においては複合施設建設費に回されるものであるだけに、見せかけの「収支均衡」を演出していると見えるがどうか。

2)「公債費が減少傾向にある」財政を社会保障充実に活かすことについて

 今日の川西市の財政の特徴として、歳出における公債費が平成28年度決算見込みで56億8900万円、平成33年度見込みが52億1200万円。

 10年前の平成19年度は52憶9400億円、それから上がり気味で推移して平成27年度決算で60億5100万がピークで、そこから減少気味に推移していく見込みになっています。

 それと連動して、将来負担比率も平成30年度をピークに減少に転じるとされています。

  「市債発行の対象」にならず、市単独事業で市民の税金に頼らざるを得ない、社会保障・福祉関係事業費を、しっかりお金を掛けて充実させるチャンスが到来したと私は見ています。

 しかし「予算編成方針・新規拡充予定施策の概要」を見ても、それが感じられない。思い切って「住民の福祉の増進」にまい進する姿勢を示すべきではないか、いかがでしょう。ご答弁よろしく。