たんぽぽだより (No.178)

6月議会で追及
川西病院は北部で存続を

2017年7・8月 日本共産党川西市議会議員 黒田みち

 「たんぽぽだより」178号はこちら(画像PDFファイル)

6月議会で追及

川西病院は北部で存続を
2次救急閉鎖の影響甚大 拙速な閉鎖は許されない!

 「市立川西病院をなくさないで」の市民の声が広がる中、6月市議会が開催され、私は「北部で川西病院の存続を求める」立場で討論しました。

 拙速な川西病院の閉鎖は許されません。

情報提供と説明責任を

 私(黒田)は、一般質問で2次救急に対応する「市立川西病院を北部に存続することについて」を大きなテーマに、①市民に情報提供と説明責任を果たすこと、②川西市北部で唯一の2次救急・総合病院を存続させることを求め、討論しました。

閉鎖前提の条例改定に反対

 また、建設文教公企常任委員会では、「市立川西病院の管理・運営を指定管理者が行うことができる条例の改定」議案が提出され、私(黒田)は議案に反対し、28日の最終本会議でも、反対討論に立ちました。(関連補正予算も反対)条例改定の議案に反対したのは、吉富議員、北上議員、日本共産党の住田、北野議員と黒田の計5人でした。

(本会議の質問や討論は議会ホームページで映像配信中)

市民への説明は「これから」

 私が、川西病院に通院中の人でも病院の閉鎖を知らないなど情報が行き届いていない実態を示し、説明責任を果たすよう求めたのに対し、市は「市民への説明会は、いつ、どのような形で実施するべきか検討していきたい」と答えました。市民には十分知らされていないのです。

2次救急はキセラ(火打)へ

 「北部での存続を」の質問には、「総合医療センターは、市域全体の基幹病院、市民全体の安心・安全を確保できる」「北部の医療は、かかりつけ医の充実を図る」「山下の急病センターは1次救急のみ。入院・手術の出来る2次救急は市立総合医療センター(火打)を中心に受け持つ」「市内急性期病院のベッド数は減る」「新しい病院は、紹介状がなければ受け付けない病院」などと答弁しました。

職員の処遇など「まだ」

 住民の不安には、「たくさん聴いている」「後方支援病院などをつくっていく」としましたが、どこまで実態を把握しているか。

 「市民の声や実態調査をするべきでは」を問うと「様々なデータはもっている」と言い、「市民に情報を開示せず、6月議会に議案提出は拙速過ぎるのでは」の質問には「医療センターの基本構想の時(来年1~5月予定)にデータを含め掲示する」と矛盾した、住民後回しの答弁。

財原確保や職員の処遇などの質問には「まだ相手(指定管理者)が決まらない」との答弁でした。

 市は計画を推進する構えですが、私は「元々の計画通り北部での建て替えを含め北部に2次救急の空白地をつくらないこと、住民を後回しにして拙速に進めないよう」強く意見を述べました。
市民の方々と連携し白紙撤回の実現へ

 「川西病院をなくさないで」の声は市民の間で広がり、署名活動や出前講座、各種学習会、集会が開かれています。

 現在、市立川西病院は、医師・看護師が揃い、経営健全化に向けての抜本的な取組みが本格稼働、市民からの信頼を取り戻している中、市民や職員の不安をあおる「構想(案)」は撤回すべきです。私は、そのために全力を尽くします。

川西病院1日20人??

 「構想(案)の具体化を審議する「川西市地域医療懇話会」がはじまっていますが、ここでも患者は置き去り。

 山下駅前の急病センター建設について市病院担当者が、「年間約11万人が外来患者(1日456人)だが、レセプト(診療報酬)データを整理して複数診療科受診者を「1」と数え、紹介状持参の患者・時間外利用者・健康診断受診者などを省くと、『かかりつけ医』」としての利用は7000人まで絞り込むことができた」
と報告しました。

 レセプトデータから「かかりつけ医」的受診の抽出は難しいとする一方、複数の委員から「7000人なら1日当り20人程度。地域の開業医で抱えられる」「急病センターの建設、運営が財政を苦しめるのでいらないのでは…」などの議論が交わされています。

 この構想(案)で市内の急性期ベッドは150以上減ることになりますが、回復期のベッドが少ないことを受けて「北部で展開を考えたら」との意見が出されています。

 市民には知らさず、粛々と決めていかれる怖さ。南部北部に細長く、山坂の多い川西市、なぜ、市内16万人口の20%が住んでいる中学校区に、わざわざ2次救急の空白地をつくる必要があるでしようか。

 国の医療介護確保推進法でどんどん病院やベッドが減らされ「医療難民」「介護難民」が増えていきます。ぜひ、皆さんと一緒に情報共有をしながら、「住民福祉の後退は許さない」という声・行動を起こしましょう。

川西病院健誰のもの?!
民主的に決められたのか?

 今回の「構想(案)」の元になったのは「市立川西病院事業新経営改革プラン(案)」。4回の審議会の内容(録音源)は、日本共産党議員団ホームページで聴くことができますが(公開会議録は要約筆記)、会長が半分以上の時間を使って持論を展開。病院関係者などの意見が自由に表明されたのか、会長の独断専行、非民主的な運営の印象がぬぐえません。

 パブリックコメントの募集に当たっても、近隣市では、「市民アンケートの結果や病院・患者の実態」を知らせています。

 市民が意見を述べやすくするために当然ですが、川西市はそうした資料はなく、「プラン(案)」だけ。「住民の意見を聴く」本気度が疑われます。

 「このプラン(案)と構想(案)がどうつながるのか全く理解できない」との市民の声は当たり前です。市民に情報を伝えず、説明もせず、結果ありきの進め方は止めるべきです。

【2面】

5月1日突然発表

 市立川西病院(東畦野)の閉鎖などの方針が突然示されたのは5月1日付の新聞と同日の議員協議会でした。

 新方針は、①市立川西病院(250床、2次救急に対応)を廃止、②キセラ川西(火打)医療ゾーンに400床のキセラ川西センターを設置、③山下駅前に内科・整形外科・小児科医師が各1名常駐、診療室4つの北部急病センターを建設、④キセラと山下の施設は市が建設し、管理・運営は指定管理者(病院)にゆだねる、⑤指定管理者は、第1協立院(313床)の移転が有力視され、川西市の総ベッド数は160床減少…などというもの。

協立指定?手際よく

 5月1日付の新聞報道以降、市の広報6月号にわずかな記事が出ただけ。多くの市民は分からない状況なのに、6月議会では公設民営を進める「指定管理者制度の導入」議案を提出する手際の良さ。
指定管理者に想定されているのは協立病院です。

 市民生活に大きな影響を与える大問題なのに、市民後回しで拙速に決めていく在り方が許せません。

北部から2次救急なくなる

 川西病院は、入院・手術ができる「2次救急」対応の総合病院です。山下に建設予定の急病センターは、日帰り患者(1次救急)に対応しますが、即入院となった時には、対応できません。

 市民から「救急車で遠くまで運ばれるってことは命にかがわる大問題や」「ここに病院があるから引っ越してきたのに」「お医者さんも揃って良い病院になったと安心している」「北部で建て替える計画だったじゃないか」「あのパブリックコメントは何だったのか」など、不安や憤りの声が出てくるのは当然です。

市民意見どう反映?

 市が募集した「市立川西病院事業新経営改革プラン(案)」へのパブリックコメントには、186人、362件の意見が集まりました。この3月に発表され「病院の立地=北部希望80%、北部以外6%」「経営形態=継続・公立で50%、猪名川・豊能・能勢3町連携で30%、民間活用2%」という内容です。

 また2013(平成25)年6月の市広報では、「住民基本台帳から16歳以上の市民3000人を無作為抽出して行ったアンケート結果」を6ページで掲載しています。そこには、「市立川西病院あり方検討委員会」で出された川西病院の必要性や評価、今の立地を前提にした病院の改善方策について、「市民にとって必要な病院であり、今後も継続していくべき」と合意したことを紹介し、市民アンケートと合致しているとしています。(下表参照)

意見や経過を無視

 その後、2015(平成27)年5月に「北部での建て替え、3町との連携・協力の方針」を市民に説明。経営健全化の取組みを含め進めてきました。

 これらの意見や経過を無視しているのが今回の構想(案)です。

「協立との契約」反故なぜ?

 そもそも、キセラ川西医療ゾーンは、2015(平成27)年に協和会・協立病院(313床)が「移転または開設用地」として市と契約。法人は、「地域ケア貢献、最新医療機器導入、高度急性期医療・24時間救急対応の296床新病院」の提案・計画を提出。

 今年度中に土地代17億円が市に入ってくる予定でした。

 それが、昨年12月にこの法人から「協力・連携の依頼文書が届いたから」と突然、市が方向転換したのです。

危うい財務、人材流出

 市は、法人が購入予定だった土地を購入し総事業費176億円(利子を含むと227億円)を投じて400床の新病院を建設し、100%借金で賄います。この事業費には、汚染土壌対策費や現在市職員として勤務している脚人(医師・看護師・医療技術者など)の解雇にかかる費用などは一切含まれていません。

 まして、医師・看護師確保が難しい時代に、突然の分限き解雇、2018(平成30)年度末が明らかになったことで、医師・看護師などが、他病院からの引き抜きなど、川西病院を辞めていく事にでもなれば大変な事態に陥ります。

予算を組みなおす必要

 市の2017(平成29)年度末の財政状況は、今回の「構想(案)」を全く含まない予算委員会の段階で、市債残高711億円(市民1人当たり45万円)、基金20億円弱(同12000円)でした。その後、「構想(案)」が出されましたが、予算措置にまったく反映されていません。

 また、新聞報道や出前講座において、「事業費の50%は、指定管理者が市へ償還払い、国の交付金が40%あるから、市の負担は10%だけ」と市負担が少ないことを強調しますが、あくまでも100%市債発行。国の交付金措置や法人経営に何があろうと全て返済していくのは川西市です。

 川西市全体の街づくりにも大きな影響を及ぼす「構想(案)」は、いったん撤回し、練り直すべきです。

 

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