なくさないで!私たちの宝物 市立川西病院
北部で入院できる唯一の「2次救急病院」
2017年5・6月 日本共産党川西市議会議員 黒田みち
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「川西病院つぶさんといて」閉鎖方針にびっくり(゚д゚)
川西市は4月末,市立川西病院の閉鎖と代替案をメディアに発表、5月1日に議員協議会が開催されました。協議会には「新聞を見てびっくり」「なんで?! 閉鎖は困る」といった市民が9時過ぎから多数詰め掛け、市の説明を真剣に聞き入りました。
民間運営方式で中部に
市が示した「川西市立総合医療センター構想(案)」(川西市HP)によると2021(平成33)年度に現在の川西病院を閉鎖、あらたに中部の火打地城に「キセラ川西センター(400床)を建設。
山下駅前にも「北部急病センター」を建設し、管理・運営を指定管理者に委託します。市が土地購入、建物を建設・所有、指定管理者(病院)に提供し、管理と運営はすべ指定病院が行う「公設民営」の形です。
キセラ川西には、協和会・協立病院の移転が有力視されています。
歳をとり、病院必要
この構想を新聞やテレビで知った市民はびっくり。「歳を重ねてきて、これから病院が必要な時に…」「ここに小児科を含め病院があるから引っ越してきたのに」など戸惑いや不安、怒りの声が上がっていいます。
山下駅前に急病センター
市は川西病院閉鎖に伴う北部地域の医療対策として「北部急病センター」を山下訳前に土地購入・建設するとしています.
しかし、内科、整形外科、小児科の医師を各1人配置して24時間体制とし、4つの診察室、8つの観察室の一次救急(入院しない急病)で対応できるのか、川西市の北部から2次救急(入院ができる急病)を担う総合病院がなくなり、救急車で遠くまで運ぶ事態になっていいのか。
大きな問題が山積です。
l日平均650人が利用
川西病院の1日予定患者数(今年度予算委員会の数値)は外来が454人、入院が195人ですが、これだけの患者さんはどうなるのでしょうか。(入院稼働率83.4%)
山下駅前に建設する急病センターで対応できるはずがないとたくさんの意見がだされましたが、市は「今後詳細を検討する」を繰り返すばかりの答弁でした。
1983年に開院
現在の「市立川西病院」は.今の市役所横(中央町)にあったものを移転させて1983(昭和58)年10月に開院しました.
当時は、川西篠山線12号もなく能勢電車の便数も少ない交通の不便な地域でしたが.南北に細長い川西の地形からみて北部に病院が必要と判断して開院、市の大型住宅団地開発を支えてきました。
病院ニーズ高まる
開院から34年、病院のある北部地域では高齢化が進み病院通いが増えています。また.若い世代が増えつつあり、子育てしやすい、くらしやすい環境をつくる必要が高まっています。この北部地域で、急病傷、出産、小児科に対応する病院はなくてはならないものです。
川西病院をめぐってはこれまで、「市立川西病院事業経営改革プラン」「経営健全化計画」、そって、北部での建て替えを含め,医師の確保や地域医療連携などの努力が進みはじめていました。
その矢先の、性急な突然の計画変更は、市民の願いを切り捨て、病院関係者の努力を踏みにじり、混乱を招きかねません。
市は、今回の方針を見直し、市民や議会と共に「川西病院はどうあるべきか」をじっくり検討すべきではないでしょうか。
「市立川西病院」をなぜつぶすのか?!
「北部に病院必要」 声 多数
「市民全体、スタッフのこと、経営を考えた上での構想だ」と大塩市長はいいまずが、市民の意見はどのように反映されたのでしょう。
市がまとめた「病院改革プラン」に対するパブリックコメントでも「公立病院としての存続―「北部での建て替え―「1市3町との連携」などが多数。民間活用賛成の意見はわずか2%(3件)、能勢口周辺希望は2件だけです。
「存続を求める」署名9500筆も提出されています。川西中部以南には病院がたくさんあるのに北部は開業医も少なく、川西病院がなくなると大変困る、という実態が現れています。
2次救急がなくなる!?
なかでも閉鎖に伴う深刻な問題は.川西市の北部に2次救急(入院が可能)を担う総合病院がなくなること。救急車で遠くまで運ぶ事態が起こります。
なぜ、病院や診療所が密集する中央部にわざわざ新しく病院をつくり.北部病院を閉鎖、2次救急の空白地をつくる必要があるでしょうか。
今回の構想の理由に市は病院の赤字経営をあげています。
現在、市は補助金約10億円を支出し、病院経営を支えています。この10億円の支出が大変だと大騒ぎをしますが、そのうちの2億5000万円~3億円は,小児、産婦人科、救急などの不採算部門への支出。これらの不採算部門は赤字であってもやるべき公立病院の使命です。(国から交付金措置されます)
また、地域医療を守るため、採算の悪い地域でも存続させる必要があるでしょう。
北部地域は民間の病院が少なく.猪名川、豊能、能勢町を含む1市3町の医療の拠点としてなくてはならない存在です。
北部で建て替えを
公立病院の使命を担う立場で、できるだけ赤字を減らし、改革をどう進めるか。市は、一昨年5月に示した「市立川西病院の整備に向けた考え方」で、建て替えによる整備を基本としており、本来の計画通り、北部で猪名川、豊能、能勢3町との連携、協力を得ながら建て替えを含めた議論こそ早急に行うべきです。
危うい176億円 100%借金
予算委・審議抜きの専断
市は、2017(平成29)年度末の市債残高は711億円、基金残高が20億円と厳しい財政状況にあります。しかし今回の整備事業費176億円は、予算委員会で一言も触れられず、予算に全く反映されないまま、100%の市債発行で賄う計画です。トップダウンでの行政先行、議会でしっかり議論しないまま突き進む危うさを感じます。
指定管理者制度も問題
市が土地と建物を所有し、管理、運営はすべて民間病院が担う「指定管理者制度」の導入。医療事故など起これば、「公立病院」としての市の責任は免れません。指定管理者制度にすれば、赤字は解消できるのでしょうか。指定管理者制度の導入では、現市立病院に対するような行政や議会のチェックはできなくなります。経営悪化・医師や看護師確保ができないなど、何かあれば市が責任を取らざるをえません。結局、市民の税金で補うことになります。
拙速な見通しに危惧
指定管理期間は2019(平成31)年度にスタートし新病院開院後20年間。その間の収支計画は綿密なのか。市のあまりに拙速な病院、財政計画の変更で、見通しを危惧する声が上がるのは当然のこと。
土地整地のための汚染土壌や地中構造物対策費は含まれていない点も気かがりです。
職員は分限免職(クビ)
同制度の導入で、現在市の職員である医師や看護師、医療援術者約280人は分限免職となることも大問題、院内保育所や給食など委託業務など病院業務への影響も広がります。
周辺の街やくらしへの影響も大きくでるでしょう。
「土地売却」方針急転 安い土地代、さらに…
キセラ川西医療ゾーンには、2015(H27)年10月に1社しか応募がなく、「協和会・協立病院1980(昭和55)年」が建て替えを含めて参入する予定で契約されていました。
その時点でも「土地購入費」が、すぐ横のマンション建設場所より㎡単価35000円余安い(差額3億8000万円)」「医療事業者選定部会において、財務計画の資金調達・償還計面への評価が低い」「現協立病院の稼働率が71.4%なのに、提案書には85.9%と過大に見積もっているのでは」などの問題が指摘されていました。
契約後、入金もないまま1年半が経過、今春の予算委員会で、今年度中に土地代17億円が入ってくる」と説明があったところです。
ところが突然の「川西市立総合医療センター」構想(案)。一体何があったのでしようか。
12月に「協力要請」!
議員協議会の説明によると、昨年12月に協和会から「病院経営の協力依頼」の文書が届いた。「地域医療の核として…、緊密な連携…、具体的な交渉…、市としてメドがたった。そして、今回の構想(案)になった」というものですが、「大丈夫なの?」といいたくなります。(協和会からの「病院経営の協力依頼」文書はこちら)
(4月の川西市の構想をまとめた「経営会議」の結論はこちら)
公募、「協立」で確定?!
民間病院の建て替えや運営に国の補助金や交付金は支給されません。しかし、今回の構想のように、「市立病院」で建設すれば、地方交付税が40%入る。市は、不採算部門(政策医療)への交付金(約3億円)と指定管理料を指定管理者に払い続けることになります。
指定管理者を公募するとしていますが、この経過で協立病院以外に受ける病院はあるでしょうか。
投資、中央地区偏重
中央北地区開発では、頓挫した住宅街区整備事業への借金返しが毎年9億円余続いています。
そのうえ、区画整理事業・キセラに約108億円、地域内の低炭素型複合施設に約108億円と今回の病院設置計画など、この場所にばかり税金投入・借金するあり方こそ問題なのです。
努力実らせ病院存続を
400床の新病院を建設しても、現「協立病院(313床)、現「川西病院(250床)」のベッド数ですから、163床足りません(許可病床・ホームページより)。北部の二次救急・総台病院がなくなることと合わせて、構想(案)の見直しを求め、住民が望む安心・安全の地域医療確保、北部での建て替えや医師などの確保、地域医療連携など、「市立川西病院事業経営改革プラン」「経営健全化計画」にそった努力を実らせましょう。そのために声をあげましょう。
私も力を尽くします。