たんぽぽだより (No.181 病院特集第6弾)

川西病院なくすな!

2017年10月 川西市議会議員 黒田みち

たんぽぽだより(No.181 病院特集第6弾)はこちら

【1面】

川西病院なくすな!

危うい「指定管理者制度」
名ばかりの「公募」はじまる

市民説明会、疑問続出

 川西市は、現川西病院の閉鎖などを伴う「川西市立総合医療センター構想(案)」について初めての市民説明会を9月23日に開催。市は「この案は案であり決まったものではない」「今後の市民説明会も考える」と繰り返しましたが、直後に「指定管理者募集要項」を決め、公募をはじめました。 この間の流れをみると、公募とは名ばかりで協和会・協立病院(柴生事務長〉に決まることは確実とみられますが、「指定管理者の指定」を最終的に決めるのは来年3月の市議会。市民の監視が必要です。声や願いをしっかりと伝えていきましょう。
 みつなかホールと東谷小学校で開かれた市民説明会には会場いっぱいの方が参加。「説明l時間、質問l時間」との予定に「質問時間が短すぎる」。説明後に「北部で救急病院がなくなれば命にかかわる」「新病院のキセラ予定地は猛毒・六価クロムの土壌汚染地。市の防災マップでは浸水予想地域でもある」「指定管理者制度の失敗例はあるが、成功例はあるのか」
 「協和会・協立病院と市の関係はどうなっているのか」「医師や看護師は確保できるか」「病院経営は大丈夫?1「民間は儲けが大事で患者本位でなくなる」など、多くの人から疑問や懸念、反対の声が相次ぎました。

多治見市立病院(社会医療法人厚生会)
「指定管理者制度導入』でどうなっているのか?!

兵庫県川西市
人口15万9883人(69077世帯)
一般会計(H29予算)545億6900万円

市立川西病院13診療科3専門宅ンター
    250床許可病床
    232床稼働数
入院1日191人(病床稼働率81.7%)

外来1日457人
   救急搬送数1633件
医師30人、看護師数192入
医療技術者44人
事務など11人
H27年度一般会計繰入10億2907万円
(政策医療・国交付金2億4468万円)H28年度岡10億2234万6000円
(同2億4596万円)*指定管理料として、国からの交付金だけと言うが、それで経営が成立つか疑問

岐阜県多治見市
人口11万2145人(45824世帯)
一般会計(岡予算)356億2500万円

市立多治見病院14診療科1専門センター
    250床許可病床数
    212床稼働数
入院1日127人(同計画目標値64.9%)
外来1日286人
   救急搬送数1109件
医師21人、看護師数111人

H27年度一般会計繰入2億1967万4000円
(政策医療・国交付金1億4349万9000円
)H28年度同2億4316万2000円
(同1億5669万9000円)
*3億5000万円まで繰入可能としている
(今までの実績から)(一般会計比約1%)

対・川西市 70.1%

 

65.3%
※医師確保できず本格稼働できていない
(H28決算)

 

 

 

 

 

67.9%

怒りのブログ「たんぽぽだより」2017・9・18

市立川西病院「たった1回の説明会ですぐ(公募)ですか?!」

今日は市立川西病院の特別委員会
「指定管理者」導入にむけて行われる「公募(案)」
に関して説明を受け意見を述べる…

*市の計画変更が「なぜ』行われたのか
 全く説明になっていない
 情報開示しても情報がでてこない異常
*地域医療懇話会の「答申」はまだ出ていない
*市主催・はじめての説明会が23日に終わったところ
 (住民の意見はみごとに時間で打ち切られ
 説明会を行ったという既成事実だけ)
 まだまだ市民には情報すら伝わっていない
 中身さえ知らされていない
*5月1日に突然新聞報道された「市の構想(案)」
 山下駅前の急病センター
 火打のキセラ医療センタ0
 どちらも変更されるであろう…地域医療懇話会の内容を傍聴すると…)
 なのに…「公募』だけは粛々と進められる
 我々はルールに則ってやっていると…
 なぜ急ぐ?1
 一民間病院のために
 住民はほったらかしにしたまま
 基本構想(案)はパブリックコメントする
 (病院と協力して決めていく構想)
 なぜ急ぐ?!
 一医療法人のために
 北部で医療の空白地を作ってまで…
 176億円100%借金をしてまで…
 汚染土壌の対策費がいくらかかろうと
 浸水被害が予想される地域であろうと
 北部で入院・手術ができなくなっても
 中央部に救急病院が密集していようと
 「協和会」のため…
 100%借金・銀行利息50億円もすごい
 建設工事費も大きい
 「公募」するって
 (ルール通りに進めましたってことになるの?!)
 280人の職員を解雇
 約400人関連で働く人々を切り捨てる
 丁寧に対応するって口ではいうけれど
 「経営難」をつくったトップは責任を取らない
 そして違う意見は切り捨てる
 

 説明会で意見を述ベる方々に
 「組織された人々」といい
 「少数意見』と聞こえよがしにいう
 決めたことだから…と粛々と進める
 ルールに則ってやっているのだから
 何も問題ない…と

 市役所の役割は「住民福祉の増進」
 後退させてはならない

 北部から医療の砦を奪うことは許せない
 救急車で運ばれる病院がなくなるなんて
 絶対に許せない!!(一部抜粋)

市立川西病院の総収支(H28年度決算より)

収益~医業収益 47億5744万9981円
     医業外;8億4400万9202円
     計  56億145万9183円
費用~医業費用 55億3536万1663円
   医業外;  1億8205万7076円
     計  57億1942万1631円
収支差引 総収支 マイナス1億1796万2448円

【2面】

先行・多治見市から学ぶこと 

拙速すぎる

この間、たんぽぽだより病院特集号で、市の計画の問題点や課題をお伝えしました。今回は、他市ではどうなっているか、「岐阜県多治見市民病院の公設民営(指定管理者制度)から見えてくること」を報告します。

(5月24日、川西市議会・建設文教公企常任委員会で行政視察)

 一番大きな問題は、川西市は情報公開や市民の意見を十分聞かずに市主導で強行していること。市は病院に関する市民アンケートや実態調査を踏まえ、2015(平成27)年5月に「北部での建替えを基本に」する計画を決めました。ところが昨年l2月に協和会・協立病院から協力依頼を受けたとして急きょ計画を変更。協立病院が購入予定(17億円)だったキセラ川西医療ゾーンの土地を川西市が購入、今年5月1日に構想(案)を新聞発表。5か月後に指定管理者公募rと矢継ぎ早に進めています。別表の多治見市と大きく異なる点です。なぜ、川西市はそんなに「公募」を急ぐのでしょうか。
医師・看護師不足続く

 問題の二つ目は、,医師・看護師確保ができないこと。指定管理者制度の導入は、病院・市職員(医師・看護師・医療スタッフ)を全員解雇し、指定管理者(民間)職員にします。

 多治見市民病院の場合、医師・看護師を含む職員で移籍したのは半分以下。指定管理者導入後7年(新病院建設後5年)たっても医師・看護師が揃わず、移籍者・職種転換で市役所に残った職員も厳しい状況に置かれています。(右表参照)
市議会でチェックできず

 三つ目の問題は、市議会のチェックが現在のようにできないこと。市は毎年、指定管理者に指定管理料を支払いますが、管理・運営はすべて民間法人(病院)に委託。料金制度の導入で売上げは全て法人のものになります。

 多治見市民病院の決算書のように、知りたい総売上高や人件費などは明らかにされません。(右下表)患者負担の増加に
四つ目は、患者負担の問題です。

 診療報酬は、国基準で官民格差はありませんが、民間病院の場合、救急や周産期といった不採算部門への補助金制度はなく、人件費を低く抑え、患者負担を増やす経営にならざるを得ません。

 例えば、高額な特別個室を増やす、入院服や紙おしめなど割高な病院指定商品を購入、入院・180日を超えると入院負担金徴収などが行われています。

 たくさんの課題・問題を抱えている「指定管理者制度」。 全国でもうまく行っているところはなく、兵庫県下でも初めての取り組みです。

 病院の建替え計画は、市の地形・特性を活かした住民本位のまちづくりとして考えなおすべきです。

拙速に強行せず、計画・構想(案)は、いったん白紙撤回、慎重に検討すべき!

多治見市病院事業決算書より
(H28年度分)報告書より

収入~医業収益   7683万1050円
   医業外; 5億2483万6109円
    計   6億 166万7159円
支出~医業費用 5億3379万1397円
   医業外;   8485万1366円
    計   6億1905万1628円

○経営状況につきましては、病院事業収益6億91万4000円(税抜〉に対して、病院事業費用、が6億1834万3000円となり、差し引き純損失1742万9000円を計上しました。
と、記載されていますが全ぼうは見えません。

★上表で記しているように、指定管理者制度導入時130人居た市職員のうち、43%・56人が指定管理先へ移籍したものの、現在の在籍は28人(22%)。

 また、市職員として職種転換された32人の内11人が退職という現実。

 導入時には、個別具体に丁寧に対応、退職金上乗せ、給与差額保障すると説明・対応されてきた多治見市でも、実際には厳しい状況があり、結局、医師・看護師配置は整っていません。

 来年度から、命の砦である国民健康保険が都道府県化される。大幅な保険税値上げになるのではないかと危惧されているのは言うまでもない。そしてr

 案じられているのが、「医療難民」の増大。医療を受けたいのに受けられない人だけでなく、最初から受けることを諦める人が増えている問題。

 貧困と格差の広がりは、金の切れ自が命の切れ自となる。医療を受けなくとも,負担だけは増え続ける。

 年金・医療・介護・子育て、社会保障や教育、憲法に記されている基本的人権が脅かされる。黙って我慢す
るのではなく、声を上げましょう。
人間を返せ…と。