黒田みちのたんぽぽだより(No.185 病院特集第10弾)

川西病院「構想」ずたずた
このまま3月議会で決めるべきではない!

たんぽぽだより No.185 2018年3月

日本共産党川西市会議員 黒田みち


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【1面】

川西病院「構想」ずたずた
このまま3月議会で決めるべきではない!

請願・要請あいつぐ

 昨年5月1日の発表から10カ月。市の構想案は、あちらこちらで矛盾が露呈。市民から「今3月議会で決めず、慎重に審議を」の趣旨の請願、要請が相次いでいます。正当な要請であり、将来に禍根を残さないためにも、拙速に判断・結論を出すべきではありません。

早くも「補助なし」破たん

 今回の構想の最大のうたい文句は、「市立川西病院の経営を支えるために毎年10億円もの補助金を入れるのは市本体がもたない」でした。10億円のうち国からの交付金2.5億円を除く7.5億円を市が支援してきましたが、指定管理者制度にすれば、国からの交付金を指定管理料として渡すだけで、「市の独自支援はゼロになる」というものでした。

 新病院は400ベッドなので交付金は3億円と推計しています。(現病院は250べッド)

3.8億円あらたに出費

しかし…
 市の中期財政計画(11月24日発表)によると、「病院改革」によって7.5億円浮くはずなのに効果額見込みは3.7億円だけ。残る3.8億円は、病院の指定管理者導入にかかわる費用(病院職員の人件費削減の補てんなど)に使う予定が組み込まれているのです。

 「新病院への市負担は、国の交付金3億円だけ」の説明はごまかしでした。
整備費大幅に増額?!

 新病院の建設費などの整備費は、当初176億円+金利51億円、全額市の借金で賄うというものでした。これだけでも市のリスクは大きいのに、今後大幅な増額が見込まれます。

増額には無頓着?!

 2月3日に北部医療の変更案が急きょ市民に説明されました(別項に詳細)。救急体制の後退など市民の医療の願いと程遠いものですが、コスト計算もないままいろんな施策が盛り込まれています。協和会に決めるためならいくらでも出す、と言わんばかりの施策です。

本院建設費は?

 176億円の計画の内、キセラ本院は総156.4億円の予定ですが、汚染土壌対策・浸水対策費でどこまで増額されるか? また、建築費80億円は「過少見積もり。修正が必要」と市は認めています。(国の交付金単価36万円/㎡で計算すると120億円に)建設予定地は、現病院敷地の3分の2の広さしかなく、駐車場確保などを考慮すると、当初の金利含む227億円の整備費は、300億円近く・青天井に膨らみかねない危険性があります。

借金は全て市民負担

 借金の返済はすべて市の財政から、つまり市民の負担です。(現在、中央北地区関連で138億円の借金があり、返済(利子68億円含)は毎年約9億円にのぼっています)

指定管理料増額?!

 協和会(協立病院)が提出した指定管理後の収支・資料によると、市からの指定管理料が2.5億円のはずなのに3億円に。市と協和会の契約は履行されるのか。市の負担は減らず、北部から病院がなくなり、職員解雇という最悪の結果だけ残ることにならないでしょうか。

協和会(協立病院)は儲かる?!

 新病院は2年目から黒字化、4年目以降2.7億円前後の安定利益を出す計画。人件費削減という経営努力、市が病院を厚遇、患者負担増という結果にならないことを切に願います。

個人データ保護は?流出の危険は?

 また、現病院の13診療科3専門センターの継続が保障されるのか。
 1983(S58)年以来の膨大な受診データなど個人情報が流出しないか。懸念は尽きません。

 議会や市民への情報提供と説明責任を果たしているとは言えない状況で、「指定管理者だけ決めてしまえ」と言った、突進ぶりに異常さ、怖さを感じるのは私だけでしょうか。

 病院職員を全員解雇、病院を壊してしまったら取り返しがつきません。しっかり議論できる場を持って、住民の理解.合意を目指すべきではないでしょうか。

黒豆の声・・・

議員が厚生年金に加入できるように
自民党・公明党が法案を出すとか
確かに「国民年金」支給なら最高でも
月6万5千円程度(40年掛けても)

でも、政治家がやらなければならないことは
生活できない「国民年金」の支給額を
引き上げることが先決でしょ!
憲法に保障されている基本的人権を
保障するための最低保障年金制度創設!

自民党・公明党が法案を出すとか
「国民年金」だけだと
議員の成り手がない・・・とか
生活ができない・・・とか
厚生年金の掛け金は半分企業負担
国民の税金で負担するってこと

自民党・公明党は生活保護費を削減
年金・医療・介護の国民負担を増やします
いやいや…今やるべきことは
360億円もの国民の税金を山分けする
「政党助成金」制度を廃止すること
政治家に甘い政策優先ではなく
国民に優しい政治こそ先でしょう

私だって将来不安がいっぱい・・・でも
国民の生活実態から学んだ政策こそ必要!
憲法通りの政治を行うことこそ急務の課題

【2面】

住民無視のとっても悲しい説明会(2/3)
暖房もなく空虚に響く「北部の医療ニーズに対応する」

 突然、2月3日東谷小学校体育館で開催された「北部医療対策について」の住民説明会。極寒の中、ホカホカカイロが配布されたものの何の暖房設備もなく、参加者はぶるぶる。マイクが悪く、何度も「聞こえない」の声。

 長い市側の答弁。手がたくさん上がっているのに、2時間きっちりで打ち切られ、「開いた」というアリバイ作りの説明会でした。

市民に知らせたくない?!

 説明会の案内もおざなり。市ホームページには1月23日から、市広報誌には2月号に掲載しただけ。住民のことは眼中にないのでしょうか。

直後に「土地購入」議案

 アリバイ説明会を終えた直後の2月9日の議会運営委員会で①協和会(協立病院)に指定管理者決定を行う②協和会(同建替えのため)が購入予定だった土地(17億円)を市が購入する.・・議案説明が行われました

 議案は、建設公企常任委員会(3月5日)で審議され、3月26日の最終本会議で採決されます。

 これほど住民を後回しにしてでも、協和会に決めたい川西市。当初計画はどんどん変更され、計画の具体化が全く見えないのになぜ急ぐのでしょうか。

 「市北部に2次救急の空白地をつくっていいのか」「巨額の借金を抱えていいか」「本当に効果的な施策なのか」など問題・課題は山積。

 3月議会で無理やり決めずに、情報提供・説明責任を果たし、真剣に検討、住民合意を目指すべきです。

「3月議会見送りを」請願

 市民の方々から、「構想(案)白紙撤回を求める要望書」のほか、「3月議会で急いで決めないで」という請願や要請書が議会に提出されています。

《24時間対応後退》北部の体制の変更

 「北部医療の在り方について」の内容は、「たんぽぽだより・緊急号外」でお知らせしましたが、①山下駅前・24時間北部急病センターは、現川西病院・正面駐車場で診療所に変更、医師3人・24時間対応から24時間対応は内科1室のみに(医師配置のべ1日72時間分が39時間分に激減)②診療所にMRI・CTなどの高額画像診断機器は整備せず、キセラ川西センターまでシャトルバス(1時間1本)運行(市単独予算)、市内総合病院に高額画像診断機器設置助成金の創設(同)③建設後35年目を迎える病院は解体、「医療・福祉ゾーン」とし民間法人公募(土地代無償に)…
など、市は突き進むためなら税金投入を惜しみません。

市の救急ベッド203床減少

 それどころか、北部住民が一番不安に思っている救急車で搬送、手術・入院できる病院がなくなることへの手立ては全くありません。その上、市民には、この計画によって市内の急性期ベッドが現在より203床も減ることや兵庫県の「地域医療構想」と共に具体化される「保健医療計画」がまだ出来上がっていないことも伝えてはくれません。

 今回の説明会でも賛成の意見はなし。市民に対する市の姿勢が明らかに。あまりの悲しさと寒さに頭が痛くなりました。

指定管理後10年目の見直し
山梨県上野原市立痛院 視察
今も産科なし、入院稼働率55.3%(2011年度)

 市立病院整備調査特別委員会は2月5日、山梨県上野原市立病院の指定管理者制度についての行政視察を行い、私(黒田)も勉強させていただきました。

 全国を襲った国の診療報酬改定や医師研修医制度導入による医師不足で、上野原市立病院は、医師が2名(委員長含む)まで激減。厳しい事態に陥りました。そこで、2005(H17)年5月から市民のより良い医療環境の創造を図る観点から「同病院建設検討審議会」を7回開催。答申を受けて、病院対策課を設置し、対策本部会議を7回、議会特別委員会を5回開催。市民アンケートを実施し、市民が参加する委員会で建設場所・病院規模・診療内容、指定管理者制度のあるべき姿などの意見を聴収。

 2007(H19)年11月、社団法人地域医療振興協会※を指定管理者に全会一致で決定しました。(※自治医科大学卒業医師が母体となって設立した公益法人。当時直営医療施設6か所。管理受託27か所)

 2008(H20)年10月から指定管理を開始し、2010(H22)年度に新病院(135床)が稼働しました。

 2016(H28)年度決算では、入院稼働率が55.3%で、当期未処分損益は3億2582万円のマイナスと厳しく、医療機器購入費用の2分の1負担は、市に2年間支払えず(H26年度4110万円)。産科開設ができていません。 指定管理料は1億5000万円/年。指定管理10年日をむかえ、継続の方向で検討中とのことでした。

 公立病院を取り巻く厳しい状況のもと、指定管理者制度導入をはじめられた上野原市。市職員の解雇を含め10年目をむかえても厳しい状況が続いています。いったん公営をやめてしまうと、元に戻すことはとても難しくなります。

 新年度からの更なる国の診療報酬改定や医師研修医制度の専門・細分化など病院経営は予断を許しません。社会保障制度としての医療制度の確立、受診抑制にならないよう医療保険料・税の引き下げなど抜本的な国民のための改革が急務です。

 市民の命やくらしを守ることが責務の市役所において、市民目線で県や国に対して意見を述べ、市民の声や願いが叶うように取り組んでいくことが大切だと痛感して帰ってきました。

◆説明会(2月3日)で出された主な意見◆

☆北部の医療ニーズに応えてと言うが2次救急を残せという声はなかったのか!

☆この案に納得できない。川西病院を残してほしいという12900の署名の重さをどう考えているのか!☆救急体制がなくなることが心配。救急搬送のシミュレーションなどやっているのか!

☆納得できない。周産期や小児科がこの地域からなくなるのは困る!

☆北部医療ニーズを守るというけれど、川西病院は市民の財産。市民が納得できるものにするべき!

☆公立やから残してほしい。北部に残してほしい!

☆川西病院と民間病院の違いは何か?市長に答えてもらいたい!(聴きたいことへの答弁はなし…)

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