黒田みちのたんぽぽだより(No.191)

「医療構想」危うさ やっぱり
事業費226.8億円→355.5億円(元利合計)
56%、129億円も増加
全室個室・高度医療に特化(国の交付金対象外、市単独負担)

2018年8月
日本共産党川西市会議員 黒田みち

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【1面】

「医療構想」危うさ やっぱり
事業費226.8億円→355.5億円(元利合計)56%、129億円も増加
全室個室・高度医療に特化(国の交付金対象外、市単独負担)

市立病院整備調査特別委員会が7月26日開かれ、昨年5月1日発表の「(仮称)川西市立総合医療センター基本構想(案)」を改訂した新「基本構想」を示しました。事業費は、危惧された通り、これまでの176億円(別途利子51億円)から98億円増の274億円(同81.5億円)に、元利合計で226.8億円から355.5億円に増え、巨額の借金を抱える計画です。

建設費57%増 

「キセラ川西センター」は、当初から私(黒田)も住民の皆さんと一緒に「事業費の計画がずさん過ぎる」と指摘していましたが、今回、建設整備費を57%・46億円増やしました。

全室個室化など28.5億円

 その上新たに400床全てを個室化(有料個室3割・無料個室7割)し、「手術室の充実」と合わせ28.5億円増。個室化は「協和会から提案があり、いいと考えた」もの。

気前よく軒並み増額

 地震・浸水対策で13億円、土壌汚染対策に14億円、OA機器も気前よく5割増の18億円など軒並み増額。合計109.5億円も積み増します。(裏面=3面4面参照)

「北部は」8億円だけ

 一方、「北部急病センター」は、医療機器7億円減など合計11.5億円減額し、わずか8億円かけるだけの「北部診療所」にするとしています。

駐車場なし

 その上、rキセラ川西センター」は、もともと手狭な敷地であり、患者や家族用の駐車場なし。
 近隣のキセラホールやキセラプラザ、体育館やプール※、これから建設予定の民間大型商業施設の駐車場を相互利用するとしています。

駐車場の借上げも

 ※これら駐車場の一部は市有地ではなく、地権者から今年度も5205万8460円で借上げています。(㎡単価最高9000円)

 駐車場のない病院をつくり、駐車場の足りない分をキセラ(中央北地区)の地権者等から土地購入や借地料を払い続ける…こんなことになるのではないでしょうか。

【2面】

シャトルバス料も発生

 現市立川西病院・正面駐車場(1000㎡)での「北部診療所」は、MRIやCTなどの高額画像検査を行わず、検査のために診療所から「キセラ川西センター」までシャトルバスを運行します。運行は協和会(協立病院)に委託、指定管理料とは別に委託料を支払います。

突き進んでいいか

 今後も膨らむ恐れの強い今回の構想。使える川西病院をつぶしてまで、このまま突き進んでいいのでしょうか。

パブコメに意見を

 新「基本構想」案は、市役所ホームページから見ることができます。8月議会での説明後、9月から市民の意見を聴くパブリックコメントが行われます。ぜひ、みんなで情報を共有し、しっかり市民の声や願いを届けましょう。
7月26日提出「基本構想(案)」で明らかになったこと

「(仮)川西市立総合医療センター基本構想(案)で以下のことがわかりました。

*「国立社会保障人口問題研究所(H25年3月推計)」を使用、2015(H27)年では、住民基本台帳より6318人少なく、後期高齢者率は、0.5%も高く表記している

北部医療は手薄

*北部(東谷・北陵・牧の台3小学校区)在宅療養支援診療所数1か所
中部(けやき坂・清和台・清和台南・多田・多田東・陽明・緑台7小学校区)同10か所

 南部(加茂・久代・桜が丘・川西・川西北・明峰6小学校区(明峰・前回調査は中部)同6か所

*キセラ川西センターは、健康診断.人間ドックは行わない

紹介状・高度医療に

*紹介状が必要、より重症度の高い患者を診る、他病院との役割分担・機能分担、転院を推進

*全室個室(有料3割・約113床、無料7割・約264床)入院稼働率93%

高度診断機器へ補助

*CTやMRIなど高額画像診断機器購入のための民間病院への市単独補助制度は取り組む

*市負担は、10%としていたが、13.8%(49.1億円)としている…しかし
36万円/㎡超は対象外

*消費税分(約25億円)が交付金に含まれるかはわからない

*建設費用㎡単価36万円を超えた分は市単独負担に。今後、超える可能性は高い。
 今回の全室個室化.手術室充実の費用は国の交付金対象外で市単独分(28.5億円)

浮くはずの「7.5億円」は

*現在、市補助金10億円のうち25億円=交付金(小児・周産・1救急医療)は、協和会への指定管理料に。残りの7.5億円の半分・3.75億円は、職員給与削減への全額支援(3年間で約10億円予定・医師は給与削減なし)へ回す

*市が100%借金(市債発行)で行う事業に変わりなく、市負担はどんどん増え、まだまだ増える要素は残っています。病院経営が黒字になった場合は全て協和会(協立病院)の利益に

*市内、救急車などで搬送される「急性期ベッドは、協立病院の廃止などにより203削減
◆  ◆
9月9日(日)午後2時~3時30分東谷公民館「黒田みちの市政報告会」
お気軽にお越しください*^-^*

【3面】

なぜ、黒塗り  委託料950円の調査結果

 市は、国からの指示として、2016(H28)年度に「市立川西病院事業新経営改革プラン」を発表し17年3月までパブリックコメント実施しました。

 そのさなかの16年12月に協和会(協立病院)から協力依頼の手紙があり、2017(H29)年5月1日の大きな計画変更・新聞報道となったのです。

 近隣自治体では、市立病院の患者動向や市民の医療動向などの基本調査結果を明らかにして、新改革プランを策定、市民意見を聴くパブリックコメントを実施しました。

 しかし市は、後付けで、「(仮称)市立総合医療センター基本構想等策定・指定管理者選定支援業務」として基本調査など委託(2017(H29)と2018(H30)の2年間)。2017(H29)年度分として3月29日に委託料950万4000円の支払いを終えました。

 そこで、私(黒田)は今年6月8日、「(仮称)市立総合医療センター基本構想策定等委託内容及び成果物(調査結果を含む)について」公文書公開請求を行いました。その後、委託契約書や仕様書は公開されたものの、調査結果などは「公文書が膨大であり、整理等に時間を要するため」と公開の延長通知があり、待っていましたが、7月20日に受け取った公文書は、「市立川西病院外来患者データ」1枚、「国保レセプトデータ」2枚だけ。請求内容そのものが変えられているだけでなく、表紙写真のように全てを真っ黒に塗りつぶしたものでした。市民が知りたいと思った950万円の委託内容が「これ」では大問題です。

 今回提出されたデータは、担当課からすぐに出してくることができるもの、分類するのも簡単なものばかり。まして個人を特定できないものまで黒塗り。「担当が公文書と認めない」「法的根拠が定まっていない」「打合せの時にそんな意味で言っていない」「認識の違い」などのやり取りに終始しました。

 2年間の委託料が、約2500万円。市民の大切な税金の使途、「最少の経費で最大の効果」をもたらしているでしょうか。情報公開・説明責任とは一体どうなっているのでしょうか。

【3面】

北部医療は診療所で

1次救急 入院・手術なし(救急車は行かない病院)
 内科3診 小児科 整形外科
 診察室5 開業医も入る予定

★5月1日発表では「山下駅前・24時間急病センター」でしたが、「現病院正面駐車場・診療所」に変更。24時間常駐は内科医師1名のみ。後は午前診。
観察ベッド8 薬局 X線 検査室

ぎょえ~ 利子分だけで 北部で建替え可能かも

北部建替え202億円?

 市は、「北部での単独建替えは2023億円かかり、国の交付金が25%しかないから、市の負担は基本構想の方が102.5億円軽減される」としていますが、ごまかしています。

80億円で可能?

 キセラ川西センターの額をべースに大雑把に試算すると、「建物建設」は、全室個室化や高級化せずに36万円/m(現川西病院延床面積14540.0㎡)で523億円。北部は市有地のため土地購入費や浸水・汚染土壌対策費はいりません。それ以外の必要経費(☆印)を面積比41%で計算したとして27.6億円、合計79.9億円。これでおさまらないとしても、とても202億円にはなりません。

【4面】

 現在250床全てが急性期病床ですが、実態に合わせて回復期や慢性期病床への切り替え、ベッド総数の変更を考えてもいいかもわかりません。(現在入院中の患者さん約6割が急性期)

築35年、自衛隊病院は50年

 老朽化ばかりを言い訳に使いますが、川西病院の開院は1983(S58)年10月で、まだ35年目。

 市は、2012(H24)年に約1億円で屋上防水・外壁改修、オペ室空調増強、1億5430万円で緩和ケア病棟整備、2017(H29)年には、5億4000万円で電子カルテシステムを導入しています。まだまだ使えるのです。

 久代の自衛隊病院は今年53年日で耐震補強工事中(休床あり)です。

北部・3町の命綱

 市北部にある市立川西病院は、北部と3町(猪名川・豊能・能勢)の住民にとってなくてはならない二次救急総合病院です。これは、今年度からはじまった「府・県の医療計画」でも明らかになっており、府県を超えてネットワーク・連携が必要であると記されています。たった一つの大切な命を守り育むために、安心・安全な医療の確立のためにも拙速に突き進み将来に禍根を残すことがないよう、しっかり声をあげ行動しましょう。

市立総合医療センター整備費用

(2017年5月1日発表分と2018年7月26日発表分比較)

キセラ川西センター

キセラ川西センター  昨年5月1日 7月26日  増減比較
建物建設(35000㎡) 80億円(*1) 126億円(*2) 46億円増
;個室化・手術室等 28.5億円 28.5億円増
;地震・浸水対策 13億円 13億円増(*3)
0Aシステム 12億円 18億円☆ 6億円増
設計・管理等 7.4億円 9.4億円☆ 2億円増
医療機器 40億円  40億円☆  
用地取得 17億円 17億円  
土壌汚染対策 14億円 14億円増(*4)
156.4億円 265.9億円 109.5億円増

 (*1)80億円の根拠 1床2000万円で積算
 (*2)126億円の根拠 1㎡36万円で積算
 (*3)この土地は、川西市防災マツプで洪水浸水想定区域。
 (*4)皮革工場跡地を含むため汚染土壌対策は当初から必要だった

北部急病センター(北部診療所に変更)(*5)

北部急病センター 昨年5月1日 7月26日 増減比較
建物建設 4.5億円 4億円 5000万円減
OAシステム 1億円 0.8億円 2000万円減
設計・管理等 0.5億円 0.3億円 2000万円減
医療機器 10億円 3億円 7億円減
用地取得  3.6億円 市有地利用 3.6億円減
計  19.6億円 8.1億円 11.5億円減
整備費総計 176億円 274億円

98億円増
別途利子81.5億円

(*5)山下駅前24時間(内・整形・小児科)急病センター案はアッという間に消え、診療所(1次救急)のため、入院・手術・高額画像検査などはできません

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