2018年3月議会 住田由之輔:市立川西病院の指定管理者の指定に反対討論

市立川西病院の指定管理者の指定に反対討論

2018年3月 日本共産党議員団 住田由之輔

○議案第3号 市立川西病院の指定管理者の指定について

 市立川西病院を、全市民、周辺住民の命を守る拠点病院として、全庁挙げて取り組みを進め、「公設公営」を基本方針とし、市民にとって安心と安全をゆだねるに足る病院にするため、本議案、「指定管理者の指定」に反対します。
 全ての市政推進に関し、市民に対して公平性が保たれ、公正に事業展開されるものであり、内容の透明化と十分な説明、さらには納得を得る努力の下、事業は前に進められるものであると考えます。
 しかるに、2017年5月1日に発表された、「川西市立総合医療センター構想案」は、市民置き去りの事業展開が進められ、たった一日しかしなかった「市民説明会」では、拙速な進め方に批判が集中し、住民の意見をまず聞くべきであるとの意見がほとんどを占めた状況でもありました。 ところが当局は、住民の声を無視し、10月には「指定管理者の公募」を行い、今日に至っています。
 当局も作成に加わった「参画と協同のまちづくり」の理念を葬り去り、行政がやることに文句は言わせないとばかりの在り方は、民主主義そのものも否定する暴挙というほかありません。
 「川西市立総合医療センター構想案」そのものを白紙撤回すべく要求します。

 今議会へも市民からは3本の請願が出されています。請願第1号は「市立川西病院の指定管理者を3月市議会で決定」することなく、内容をまずは市民に広く知らせてほしい。請願第2号は「3月議会で川西病院の指定管理者を協和会に決めないこと」を求め、請願第3号では、同じく「3月議会で市立川西病院の指定管理者を協和会に決めない」ことを求める内容でした。置き去りにされてきた市民の中から湧き上がってきた当然の声でもあります。
 さらに白紙撤回を求める住民の署名は15058筆と、かってなく多くの皆さんが、今決めないでほしい、もっと住民に周知をし、幅広い意見を求めてほしいとの願いで提出されています。この住民の願いに沿った行政をまずは進めるべきではないのか。それが市政を預かる行政としてとるべき正しい道ではないのか、これまでの行為の反省を求め、今からでも、住民の声を真摯に聞くべく要求します。

 川西市立総合医療センター構想案における、指定管理者制度導入を持ち出した最大の理由が、毎年10億円の一般会計からの持ち出しができなくなった、40億円の累積債務が重たくのしかかり、財政的に持ちこたえることができなくなったと説明され、財政的側面の「悲鳴」を、市民に対して脅しのごとく叫ばれてきました。
 しかし10億円の中身を検証すれば、国からの交付金で賄っているものを引けば、7億5000万円とのことであり、それも3条法定内支出がほとんどで、すべてと言っていいほど公立病院を抱える行政としては行っている支出です。住民の命を守るための支出であり、それ以外の何物でもありません。

 川西市は住民の日常の衛生管理をよりよくするとして、広域ごみ処理を行っています。かかった建設費用の返済に平成30年度でも約12億円、広域で事業運営するための分担金には約17億円使っています。住民生活の上で、環境を保つ必要なお金です。
 環境の問題では、中央北地区整備を行い、皮革工場の存続か100%廃止かを迫り、廃止を決断し、そのためにかかった費用を都市整備公社に肩代わりさせ、都市整備公社に補助金としていまでも毎年6億から8億円支払っています。
 事業を行うのにお金は必要です。住民の命を守るお金こそ、工夫をし、しっかりと保証するのが行政の務めです。お金がないのではなく、この間のお金の使い方に誤りがあり、その誤りを市立川西病院経営に押し付けていると言わざるを得ません。

 そもそも指定管理者の導入は、他の自治体でも失敗をしており、たいへんリスクの高い制度導入になります。それをあえてやろうとしたのは、指定管理者に名乗りを上げた医療法人があったからです。この間の討論でもそのことは明らかになっており、2016年12月、医療法人協和会理事長からの手紙が、構想案をつくるきっかけだとはっきり述べられています。
 問題は、176億円という税金を投入する事業として、今日まで取ってきた、「公募するから、最初から決まった医療法人ありきで進めてきたのではない」と説明に無理があることです。どう見ても、「公募」という公正な手法を隠れ蓑に、最初から医療法人協和会が指定管理者になる筋書きで事が運ばれてきたということです。このようなことが行政が行う事業として許されるのか、市民に問わなければなりません。
 まず、建設場所を医療法人協和会が新病院建設用として購入予定された場所であるということです。協和会の土地に、それを買ってまでやろうとするのは川西市しかありません。
 また、「新たな土地に新病院を建設する」という構想は、市立川西病院と共同して事業を行うことを積極的に表明する事業者がいなければ成り立たない「構想案」です。
 市立川西病院の所有するベット枠は250床。それに150床提供する急性期病床所有病院が対象とされましたが、阪神北医療圏の中という枠で、3つの医療法人が対象になり、協和会以外は、急性期病床を抱える病院を一つしか持っていません。中心になる病院を廃院にして、協立病院、第2協立病院、協和会が運営する各種介護施設が密集する地域に進出することは到底考えられません。
 「公募」という、公平な手法で事業を推進したとされているが、前提条件のところで他の病院はふるい落とされているのです。最初から医療法人協和会しか「公募」できない仕組みが作られていたのです。これは公費で行う事業の在り方を大きくゆがめていると指摘せざるを得ません。
 176億円の投資をし、指定管理者に運営をさせる効果があるのかも疑問です。
 当局は一般会計からの支援がこれ以上できないとの理由で、指定管理者制度導入を選択したのに、176億円は市民の税金、100%市債を発行して賄うとしたのです。指定管理者は30年かけて返済する計画ですから、市としては十分な財政的体力があることを裏付けしているのです。一般会計からのこれ以上の支出はできないことはないと自ら証明しているわけですから発言が矛盾しており、市民に対してウソを付いたことになります。その嘘で成り立っている指定管理者の指定はやっぱり認めることはできません。

 指定管理者が30年かけて事業費の50%を返済するありかたも、指定管理者の都合で計画されているように見えます。「利用料金制」をとりますから、原資は税金で、「返済金」を賄うシステムです。どこまでも指定管理者に優遇された税金支出処理計画です。

 指定管理者の指定は280余名の市職員・医療スタッフの「分限解雇」を宣言するものです。

 指定管理者の指定実施が2019年4月からとは言え、実際には本議案が採択された時に、医療スタッフとしては、自らの身の振り方が大幅に制約され、市民奉仕の公務員の道は閉ざされてしまうのです。当事者にとっては非常に残念であり、無念であることでしょう。それを実行していいのか、怒りも沸き上がります。この意味からも指定管理者の指定は撤回すべきです。
 新病院の400床のベット数は、「重篤患者優先受け入れ」という民間経営が優先され、医療難民の発生、根治しない前に退院しなければならぬ状況の発生が容易に推測できます。全市民、住民にとって命を守る最後の砦「市立病院」の本旨から遠ざかってしまいます。それは許せません。
 北部診療所構想案は住民ニーズに合致したものではありません。あくまでも救急搬送を受け入れ、入院、手術ができる二次医療機関が必要なのです。身近に入院施設が必要であるのは、北部地域が急速に高齢化しているからです。高齢と入院はセットのようなものです。
 それに加えて、若い世代に魅力を感じてもらえるのは、保育施設、充実した教育環境、そして毎日の買い物をする場所といざというとき頼りになる病院施設が身近にあることです。街づくりの必要条件です。この条件が欠ければ住民はまちから去っていきます。自然が残る環境、戸建て中心の街の魅力だけでは補えません。
 このように総合的に考えれば、本議案、「市立川西病院の指定管理者の指定」は撤回し、川西市立総合医療センター構想案も白紙撤回し、住民のための市立川西病院再生を、市民参加で行うことを要求し、反対討論とします。